日本共産党神奈川県議会議員団

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政策・提案・見解
2023年9月15日

個人の思想信条と内心の自由及び政党の政治活動の自由を守る要請を行いました

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2023 年 9 月 15 日

神奈川県知事 黒岩 祐治 殿

日 本 共 産 党 神 奈 川 県 議 会 議 員 団
団 長 大山 奈々子
住 所 横浜市中区日本大通 1 県庁内
連絡先 045-210-7882

個人の思想信条と内心の自由及び政党の政治活動の自由を守る要請書


知事に於かれましては、県政の推進にご尽力されていることと拝察いたします。
さて、「政党機関紙の庁舎内勧誘行為の自粛を求める神奈川県民の会」の代表者から県議会に対して、本年 9 月 7 日付で「政党機関紙の庁舎内勧誘行為の自粛を求める陳情」が提出されました。「陳情の要旨」を略記すると、神奈川県が①庁舎内での無許可での政党機関紙の営業・勧誘行為の禁止と執務室内での配達・集金の禁止、②自主的に読みたい方は自宅を配達先とする旨の職員への通達、③庁舎内での政党機関紙勧誘行為及び勧誘の際に感じた心理的圧力の有無に関する職員への調査・確認の3点を行うことを求める内容です。
なお、横須賀市議会、相模原市議会など県内複数の議会にも、同一人により同様の陳情が提出されています。
このような動きに対して、県は憲法や法律に基づき、毅然として対応することが必要だと考えます。県が以下の点を踏まえて適切に対応することを、強く求めるものです。

(1)職員の政党機関紙購読は個人の自由意思であること「陳情理由」には、庁舎内での政党機関紙の購読の働きかけをあたかも強制的であるかのような記述がありますが、購読するか否かは職員個人の自由意思に任されています。また、購読は職員個人の思想・信条の自由、内心の自由(憲法第 19 条)の問題であり、行政がこれらの行為に制限を設けることは許されません。
なお、行政による職員の政党機関紙購読調査に関し、横浜地裁川崎支部が 2009 年 1 月 27日に下した判決があります。これは 2003 年 3 月、川崎市が係長級以上の市職員 3,687 名に対して行った政党機関紙購読調査を憲法違反として、市職員 6 名が川崎市に賠償金と謝罪広告を求めた裁判です。判決は原告らの請求を棄却するものでしたが、判決文では「もとより市職員が任意に政党機関誌を購読して、各種の情報を入手し、それを職務に活かすことは最大限に尊重されるべきで、いかなる者もそれを制約することは許されないことは当然・・・」と述べられています。この点は重要な指摘であり、県としても重く受け止めるべきです。

(2)政党機関紙の購読の働きかけや配達・集金活動は適切な政治活動であること
政党に属する議員や党員が自治体の職員に購読を働きかけ、配達・集金する活動は、憲法に保障された政治活動(憲法第 21 条)であり、行政がこれらの行為に制限を設けることは許されません。また、購読場所や集金場所もまた購読する個人の自由であり、行政が干渉する話ではありません。

(3)政党機関紙の購読に関する調査は憲法違反であること
個人の思想信条の自由、内心の自由や政治活動の自由を侵す行為は許されないことは前述のとおりであり、行政が職員の政党機関紙の購読について「調査・確認」を行う行為は、まさにこの侵害に当たります。したがって、行政がこうした行為を行うことは許されません。
仮に職員が「陳情理由」にある「議員による職員に対するパワハラ行為、セクハラ行為」などの心理的圧力を感じた場合には、個々に対応すればよいことであり、それを理由として前述の侵害を正当化することはできません。
以上のことから、県として以下の対応に努めていただくこと。


1)職員に政党機関紙の購読を働きかけ、配達・集金する活動は、憲法に保障された政治活動であり、購読は職員個人の思想・信条の自由、内心の自由の問題である。県として、庁舎内における政党機関紙の購読を制限する行為は行わないこと。
2)政党機関紙の購読場所や集金場所は個人の自由であり、県として干渉しないこと。
3)個人の思想信条の自由や内心の自由、政党の政治活動の自由を侵害しかねない職員への政党機関紙購読調査は、県として行なわないこと。

以上


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