
20250626大山奈々子議員一般質問
大山議員:大山奈々子です。日本共産党神奈川県議会議員団の一員として質問いたします。
質問の第一は、暮らしを支える施策についてです。
はじめに、暮らしを支える水道料金の引き下げ等についてです。
生活保護に関し、2013年から生活扶助基準を平均6.5%引き下げたことの違憲性を問い、全国生活と健康を守る会を中心に裁判が行われています。
全国29の地方裁判所で31の訴えを起こしているこの生存権裁判は、この間、地裁で19例、高裁で7例が国の敗訴となっています。
原告からは、私が法廷で聞いたものも含め、次のような声があります。
●シングルマザーとなり、医療事務や飲食店の仕事を掛け持ちし、盆も正月もなく働いたが、親の介護が重なり保護を利用することにした。娘が百均の筆箱を笑われ、貧乏をからかわれていると感じて学校に行けなくなった。●保護費引き下げで食事は一日1回、入浴は週1回。●毎日お金のことばかり考えて暮らすのが、どんなに辛いか。●子どもと旅行に行ったことはない。●唯一の趣味だった俳句も電車賃が払えなくなり行けなくなったが、会の人々が助けてくれた。●不安で息が詰まりそう。●人間として生きる喜びを味わいたい。●健康で文化的な生活とは何なのか、等々です。
本県では、昨年10月には県営水道料金の大幅な値上げが行われました。3年かけた段階的な値上げとして、最終的には平均22%のアップとなります。
この間、私たちは生活困窮世帯への減免制度を設けるべきと訴えて来ましたが、県は応えていません。
本県の消費者物価指数分析によると、この2020年からの5年間で、生鮮果物は58.3%、生鮮野菜は48.0%上昇し、主食のコメは直近一年間で約2倍に高騰しています。
憲法違反の疑いが濃厚な生活保護費削減で健康で文化的な最低限度の生活すら送ることが困難な状況に(加え)、ダブル、トリプル(ワーク)でどれほどの苦境に陥っておられるのか、想像するのも辛い状況です。
国においては物価高騰対策として、低所得世帯向けの3万円の給付金や生保世帯へここ2年間月1,000円、今後さらに500円の増額が行われることにはなってはいます。
県では1976年のオイルショックによる急激な物価上昇を背景に水道料金を値上げした際に、経済的弱者に対する生活保護の減免を約40年間行った経緯があります。
給付がそもそも最低限度の生活を保障しえない状況にあり、国の支援も焼け石に水の感が否めない以上、また当時のような県民支援の精神で水道代の減免を行うべきと考えます。
東京都が今年の夏、一般家庭向けの水道基本料金を無償化する方針を固めたことが報じられて評判になっています。長引く物価高で苦しむ家計を助け、エアコン使用を促して熱中症予防につなげるのが狙いだということです。本県でも、苦境の中懸命に生きる県民を対象に減免を行うべきではないでしょうか。
さて、2023年の神奈川県営水道事業審議会の答申では、「福祉的な視点からの減免は、制度の趣旨からは公営企業の独立採算の適用外として行政的経費で賄うべきであるが、減免に必要な財源負担の整理にあたっては、県営水道が独自に制度を導入したという経緯を踏まえ、まずは、県や給水区域の市町と議論を開始することが望ましい」という意見が示されています。
そこで知事に伺います。水道料金の減免について、東京都のような規模では難しいにしても、県としても困窮世帯向け水道料金の減免を行うべきと考えますが、見解を伺います。
また、水道料金以外にも多角的な生活困窮者対策が一層重要になります。国からの重点支援地方交付金の活用にとどまらず県独自の施策を打ち出すべきと考えますが、見解を伺います。
次に、生活交通の確保についてです。
まず、地域公共交通の維持・確保についてです。
私たち共産党県議団は、県西部の市長や町長のみなさんと懇談を重ねてきました。
どこも共通して地域の移動の足の確保が重要な課題となっていますし、この状況は政令市をふくむ県内全体の死活的な課題でもあります。バスの運転手不足による減便が増え、市町村がお金を出して路線を維持している例も見られます。
現在、県内のバス便2,300系統のうち市域をまたぐ3系統の赤字系統には県も補助を行っているとのことですが、市町村域で完結する路線に対しても、市町村と協調した補助を行っていただく必要も感じています。
本県としては、自動運転の実装やバス事業者や市町村からニーズの高い運転手確保のために、様々な施策を開始していることは重要です。横浜市は民間バスの運転士住居支援補助金を年に9,000万円組んでいるとのことです。
県の運転手確保の取組が1,500万円といいますから、どのくらい実効性があるか不安です。交通に限らず、市町村からは県の補助金について、ありがたいが、額も少なく、継続性に不安があって手を上げられないとの声が聞かれます。
事業を開始するための支援にとどまらず、運営を継続するタイプの支援が必要だと考えます。
そこで県土整備局長に伺います。県が新たに創設した補助金を、地域公共交通の維持・確保に取り組む市町村に有効に活用していただくために、県はどのように取り組んでいくのか、また、実効性を持たせるために予算規模の拡充が必要かと思われますが、見解を伺います。
また、運転手確保を行った場合の定着支援も必要かと考えますが、見解を伺います。
次に、自転車を活用した地域交通の確保についてです。
地域交通を論じる際に、発想の転換で自転車の活用を提案する専門家がいます。通勤通学の足として自転車を意識し、日常的に活用することが推奨され、60歳以上の自転車教室などを開催することにより健康寿命の延伸も期待できるとされています。
そのような中、本県は自転車活用推進計画を定め取り組んでいます。例えば目標1「自転車を快適に利用できる環境の整備」が掲げられていますが、市町村においてはこの策定が進んでいないようです。
そこで県土整備局長に伺います。バスや自家用車に依存しない地域の移動の足を確保する観点からも、自転車活用推進計画の全市町村での策定を促すために県はどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。
以上です。
黒岩知事:大山議員のご質問にお答えいたします。
暮らしを支える施策についてお尋ねがありました。
暮らしを支える水道料金の引き下げ等についてです。
水道事業は原則として独立独立採算制を基本としていますが、県営水道では社会福祉的な配慮のもと、児童扶養手当の受給世帯や障がい者がお住まいの世帯等に対し、一定の水道料金の減免措置を講じています。
今般東京都が都内の全世帯の水道料金の基本料を4ヶ月無償化しましたが、水道料金の減免等については自治体間格差が生じないよう、国の責任により必要な措置を講じるべきであると考えています。
また県では生活困窮者対策として今年度新たに低所得世帯等を対象とした学習クーポンを配布する市町村に対する補助事業や、不安定居住者に家具等の購入支援を行う事業を開始しており、今後も生活困窮者の支援に取り組んでまいります。私からの答弁は以上です。
池田県道整備局長:県道整備局関係のご質問にお答えします。
生活交通の確保についてお尋ねがありました。
まず地域公共交通の維持・確保についてです。
地域の移動手段の柱である路線バスは、運転手の高齢化やいわゆる2024年問題などによる運転手不足により、減便が相次いでいます。
そこで県は運転手不足への対応として令和7年度に新たに2つの補助事業を創設しました。
具体には若者などがバス運転手になりやすいよう、大型二種免許取得までの期間が短縮できる特例教習の受講費用をバス事業者に補助します。
もう一つは既存の大型バス運転手を有効活用できるよう、利用者の少ないバス路線を大型二種免許ではなくても運転できる小型車交通サービスへ転換するときの費用を市町村に補助します。
これらの補助事業を有効に活用いただくため、全市町村とバス協会などで構成する地域交通研究会において、3月に事業概要の説明を行ったところであり、今後は活用事例の紹介や意見交換を行います。
併せて市町村やバス事業者のニーズを適切に把握し、8年度以降の事業規模を検討していきます。
バス運転手の定着支援については、バス運転手確保の取り組みを始めたところであり、この取り組みに注力していくため当面取り組む予定はありません。
次に自転車を活用した地域交通の確保についてです。
自転車の活用は健康増進や観光振興に加え、自動車への依存を軽減し脱炭素にもつながることから、その推進を図っていくことが重要です。
こうした中、平成29年に自転車活用推進法が施行され、地方自治体は自転車活用推進計画の策定に
努めることとされました。
県では令和2年に計画を策定するとともに、市町村に対しても連絡調整会議を設置して、計画策定のノウハウを提供するなど取り組んできました。
その結果これまでに7つの市で計画が策定されています。
今後自転車の活用をより一層推進していくためには、さらに多くの市町村に地域の実情に応じた計画を策定していただくことが重要です。
そこで県は引き続き連絡調整会議の場を活用し、すでに計画を策定した市の事例を紹介するとともに、必要に応じて個別に市町村を訪問して技術的なサポートを行うなど、計画が未策定の市町村を支援してまいります。答弁は以上です。
大山議員:ご答弁いただきました。
知事からは生活困難者対策についてお考えを伺いました。現在でも学習クーポンのことや、家具の購入のための支援を行っておられるということ、そして水道料金についても一定の減免が行われていることは分かりましたけれども、過去からあるそういった制度水道料金の減免の拡大をお願いしています。
国において要望されている地域間格差、東京という圧倒的に財源のある自治体と接していて神奈川県としては忸怩たる思いがあるのは私も同じです。
しかしですね、そこを乗り越えていただきたい。
要望を申し上げます。
暮らしを支える施策についてです。
困窮世帯への減免は埼玉市や武蔵野市千葉市千葉県県営水道など、他自治体でもやっています。
私は無理な提案をしているとは思いません。県営水道受水域の生活保護世帯は約2万8000世帯。水道基本料金を12ヶ月減免するのに必要な財源は約3億円。水道事業予算の約0.3%です。
一般会計で見れば約0.014%にすぎません。
夏場だけでも支援に踏み切る姿勢が県民の希望となるのではないでしょうか。
知事は東京都の水道基本料金無償化の方針を受けた記者会見で、個人への給付のようなサービスをやると地域間格差が生じ、県民は納得できないと思うと語られたとのことですが、東京に文句を言うのではなくて地域間格差を生じさせたくないのであれば、せめて県としてそれを縮める努力をすることこそが知事の役割だと考えます。
住民の福祉増進という地方自治体に謳われた役割を発揮されるよう要望します。
次に地域交通の支援についてです。
運転手不足について市町村や事業者にニーズ把握を丁寧にされていることは理解しました。
継続的な実効性ある取り組みにしていただくべく、事業開始後の検証も行っていかれるということ。
8年度予算についてはそういった市町村の声を踏まえて検討していかれるということでした。必要な予算を確保されることを要望します。
また公共交通の確保はまさに公の責務とらえて、運転手を県職員として採用するなどの発想もお願いしたいと思います。
次に自転車を活用した地域交通の確保についてです。自転車活用推進計画は現在7自治体で策定されてきており、来年度には11自治体に拡大する目標だとのことですが達成を目指すとともに、計画どまりではなく自転車を移動の選択肢にしてもらえるような行動変容を喚起する政策をご検討いただくよう要望いたします。
大山議員:質問の第二は、災害医療体制・救護体制の強化についてです。
地域在住の医療従事者との連携についてです。
首都直下型地震、南海トラフ地震など、近年大規模災害の危険性が高まっています。
私は地元横浜の港北区医師連盟のシンポジウムに参加したことがきっかけで、災害医療体制の強化について学びました。災害医療担当の医師からは、自治体が居住地の医師を把握しておくこと、日頃から災害時には力を貸していただく合意形成をしておくことが必要ではないかとの提案がありました。
1995年の阪神淡路大震災の際に、当時の神戸医師会長が居住地の医師との連携ができなかったことを悔やんでおられたといいます。
のちに災害医療体制の一環としてDMAT(災害派遣医療チーム)が創設されたことは重要ですが、今後想定される災害として、交通インフラが壊滅しDMATの出動もままならない事態が考えられます。
発災直後は二次災害の危険もあり、医療従事者が居住地から勤務地へ赴くことが困難な事態も多数想定されます。
現在、自治体の医師従事者の免許申請については、保健所や保健福祉事務所で受け付けを行い、県を経由し国に提出していますが、自治体にはその情報をもとにした医師名簿等もないとのことです。
平時からその地域に勤務し、医療体制に精通している医師が活動する方が望ましいのは当然です。しかし、例えば1週間という時間で考えた場合、診療時間内の時間帯は30%弱であり、休診日や早朝や深夜などの時間帯に発災した場合、診療所に行けない医療従事者やスタッフが出てきて診療所の開設率が極端に下がる可能性が出てきます。
横浜市には横浜市災害支援ナース、通称Yナースというシステムがあります。災害時の医療救護活動を支援していただける横浜在住在勤の看護職を募集し、登録するものです。
各地の医師会と連携し、この仕組みを医師向けにもアレンジして、全県で取り組むことを推進することが必要だと考えます。横浜市では医療救護体制強化に向けた取組について、居住地や参集場所までの所要時間などの実態調査を行い、検討を進めていくと聞いています。
そこで知事に伺います。居住地の医師を自治体が把握することに加え、災害時に医師が居住している地域での活動が可能な方に登録をお願いすることについて、市町村、県医師会、郡市医師会などと連携し検討を行う必要があると思いますが、見解を伺います。
次に、市民トリアージの啓発についてです。
災害が発生した際に、医療行為としてのトリアージは、その場にいる方々の受傷の程度を手早く判断し、程度に応じた治療の場所へ搬送・誘導するふるい分け作業です。
しかし、災害が大規模であり、多数のけが人を前にして市民しかいない場合を想像してみてください。
トリアージを知らなくても、市民は自分なりにできることをするしかありません。そのとき、少しでも知識があれば有効な対処ができるのではないでしょうか。
この人は腕が折れているけれど、話せて歩けるから救護所で応急処置をすればいいと、市民レベルで判断できるようになることが必要だとの提案を、防災担当の医師から伺ったとき、医師のいない災害の現場で救護活動として、緊急度の判定を市民が行う事態を想定しておくことが本当に重要だと思いました。
実際、市民トリアージの普及に取り組んでいるNPO法人では、大規模災害発災時に医療や消防での対応が叶わず、被災直後の生き埋めの救出やけが人の処置や搬送を市民が担う場面では、主役は市民だとの考え方を持っておられます。
目の前の患者を病院に運ぶのか、救護所に運ぶのか、また誰から先に運ぶのかが分かり、迅速に医療につなぐことができるとの考え方から、このNPO法人は活動されています。
本県はすでに「地域防災体制の強化」として消防団や自主防災組織の活性化を図り、地域の助け合いによる救命体制の強化を推進し、「要配慮者対策」として「誰一人取り残さない」視点から、災害弱者への支援体制整備を進めておられます。
これら既存の取り組みが既に市民による一定の判断や行動を内包していることを踏まえれば、市民トリアージは全く新しい異質な概念ではなく、むしろこれらの自助共助の取り組みを体系化し効果を高める手段となるのではないでしょうか。
千葉県木更津市は、毎年市民防災研修、市民トリアージ体験学習を市役所で行っていて、市民からは好評で、若い学生たちにも学んでほしいとの声があるそうです。
静岡県三島市では、災害訓練として年に一度位置づけ、自主防災組織に対して市民トリアージの講座一回当たり費用の2分の1、1万円を補助することも行っておられます。
限られた資源で最大限に人を救うために、備えを万全にすべきと考えます。
そこで知事に伺います。南海トラフ大震災や首都直下型地震など未曽有の災害を想定し、民間まかせではなく県として実効的な市民トリアージのような救護活動を防災訓練のメニューに加えるなど、普及啓発する必要があると考えますが、見解を伺います。
以上です。
黒岩知事:災害医療体制救護体制の強化についてお尋ねがありました。
まず、地域在住の医療従事者との連携についてです。
大規模災害が発生した際、県では発災直後から災害派遣医療チームDMATが活動するほか、市町村が地域の医師会との協定に基づき、救護班を編成し救護活動を行うこととしています。
この救護活動では患者の治療や重症度の判断だけでなく、地域の災害拠点病院との緊密な連携等が必要不可欠であることから、医師については日頃からその地域で診療を行い、医療体制に精通している方が従事することを基本としています。
一方で大規模災害で交通手段が寸断された場合、復旧するまでは勤務地ではなく居住地での活動を希望するといった医師がいることも考えられます。
また普段は医療機関に勤務していないものの、災害時には協力したいという医師もいると思われます。
県内ではこうした方をあらかじめ把握するため、募集と登録を行う仕組みを設けている市町村もありますので、県ではこうした事例を他の市町村とも共有し、検討を呼びかけるとともに連携して情報発信を行っていきます。
今後も市町村や関係団体から意見を伺いながら、発災直後から円滑な救護活動が行えるよう、しっかりと取り組んでまいります。
次に、市民トリアージの啓発についてです。
大規模災害時には、傷病者が多数発生する中、限られた医療資源の有効活用をするため、医師等が重症度に応じて治療の優先度を決めるトリアージが行われます。
これは、医療の専門的な知識に基づいて行われるものですので、医療従事者でない方が研修などによって同様の判定を行うことは難しいため、県としては積極的に市民トリアージの普及啓発を行うことは考えていません。
しかし災害に備えて症状を判定し重症患者を優先して、治療や救護を行うトリアージの考え方を日頃から県民の皆様にご理解いただくことは重要です。
そこで県ではトリアージを行う理由や考え方を県のホームページなどを通じて周知していきます。
また毎年ビッグレスキューではDMATや自衛隊などが連携し、トリアージをはじめとする医療救護活動を実施していますので、こうした機会も活用しトリアージの意義を広めていきます。
このほか災害時にはトリアージによって直ちに治療を受けられない軽症者が発生することも想定されますので、自主防災組織向けの研修会で応急手当の演習を行うほか、防災パーソナルサポートで応急手当の技術を学べる動画などを案内していきます。
このように県はトリアージの意義の普及啓発などに取り組んでまいります。
答弁は以上です。
大山議員:ご答弁をいただきました。一点再質問させていただきます。
市民トリアージについてですけれども、知事が今ご紹介いただいたトリアージという言葉は、医療従事者が行うトリアージの文脈で使われていました。私が求めました今回の質問は、医療従事者によるトリアージではなく、医療従事者が到着する前に、そういう医療資源がない場面で、市民が主体的になって行う救護活動の一環としてのトリアージなので、知事の答えが少しここはずれているなと感じました。
それで一点知事に再質問いたします。
大規模災害において市民同士の助け合いの場面があり得ることを想定しておくことは大事です。
その場に立った時に対応する知識があるのとないのとでは、どちらが多くの人を救えるとお考えでしょうか。伺います。
黒岩知事:再質問にお答えいたします。
市民トリアージという言葉、そのような(聞き取れず)に私は大変違和感を覚えています。
トリアージというのは選別、選別という言葉ですね。選別というのは特にたくさんの傷病者がいっぺんに出たという時に選別をするんですよ。
だからこの人は瀕死の状態だと、助かんないという、この人は切り捨てるんですよ。
そして軽症だといってもですね、実は大けがをしてる。大けがをしてるけども、この人は命にはかかわらないだろう、すぐには。
ということでこの人も助けないんですよ。
それを選別するんですね。それは医者であってもですね、なかなか難しいことなんですよね。それを一般市民がやる? そんなことはちょっと私は考えられないですね。大山議員のおっしゃったイメージ、それは分かります。一般の人たちが、例えばそういういざという時にはどんなことを自分たちがすればいいのかを考えるということ。それを勉強するといったことは、それはとても大事だと思いますけど、そのこととトリアージという言葉は、違うと私は思いますね。
そのことはぜひお伝えしたいと思います。答弁は以上です。
大山議員:知事のその戸惑いも理解できます。
トリアージというとやはり医療従事者がいるものという常識がありますが、
しかし医療従事者がいない場面でいち早く救急車か救護所かというところを選別しなければならない状況が、そこをやはり想定していただく想像力を持ちいただきたいと思います。
そのためにも今回正直、私たちの議員団の中でもトリアージ、市民トリアージ?という抵抗感があったんですけども、実際に取り組んでおられる皆さんの市民トリアージの取り組みの動画を視聴しまして、これは必要だとみんなでその意義を感じたわけです。
ぜひ知事や安全防災局長にはこの市民トリアージの動画をご覧いただきたいと思います。
具体的にそういった場面を想定しておくこと大事です。
一方、地域在住の医療従事者の名簿化とか連携については大変前向きなご答弁いただいたと思います。
既に進めておられる自治体と連携を図って、さらにそれを広げていくということ、これはテンポ感を持ってやっていただきたいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
大山議員:質問の第三は、安全安心の神奈川についてです。
はじめに、川崎ストーカー事件のような悲劇を繰り返さないための対策についてです。
川崎市で4月、20歳の女性が遺体で発見された事件についてです。
当初、ストーカー事案として警告や禁止命令を発しなかったこと、被害者が身を寄せていた祖母宅の窓ガラスが割られた件では、証拠採取をしなかったこと、容疑者宅の家宅捜索で捜索令状をとっていなかったこと、等々の問題が指摘されています。
報道によると、その祖母は「警察がもっと早く動いてくれればよかったのにと思う。対応が遅すぎる、一日でも早く真実が知りたい」と語っておられます。この方が述べたという「守ってあげられなくてごめんね」という思いは、私たち県行政に関わるものすべてが抱いている思いではないでしょうか。
そこで、二度とこのような悲劇を招いてはいけないという思いで質問いたします。
この事件は20年前の桶川ストーカー殺人事件の痛苦の反省から生まれたストーカー規制法が生かされていなかった問題であり、国家賠償請求の対象になりかねない問題だという指摘があります。
県警は検証チームを設置し、対応や捜査の問題点を調査しています。
6月2日に開かれた全国の警察本部長を集めた会議では、警察庁長官は人身安全関連事案は事態が急展開し重大事件に発展する恐れが極めて高いと述べ、「相談者や関係者の心情に寄り添った対応」を徹底するよう求めたということです。
検証チームの調査結果が今もまとまっていないとのことですが、先日県が開催したストーカー被害を考える緊急シンポジウムでは、元刑事の方から検証に時間がかかっている点について苦言が呈されました。今現在、まさにストーカー被害に遭っている方を救うためにも、迅速な検証が求められます。
私たちは、問題の背景に、警察の人員体制と研修に課題があるのではと考えています。
人身安全関連事案を担当する課の定数は88人だということですが、ストーカーの相談件数は増加しており、2024年は996件、DVの相談件数は同15,240件ということは、一人が担当する案件は単純に割っても184.5件に上ります。人員体制が十分なのかも、心配になるところです。
このようなケースに関する研修も、年に3回のメニューはあるものの、担当のすべての警察官が受講しているわけではないということです。
そこで警察本部長に伺います。川崎ストーカー事件について県警として反省すべき点及び再発防止に必要な要素について伺います。
特に、マンパワー不足はなかったのか、ストーカー等事案に対する研修の強化が必要ではないか、見解を伺います。
次に、ストーカーやDV事案を警察が察知した際の福祉部局との連携についてです。
今回の事件を受けて、知事が記者会見で「被害者目線に立っていたか、真剣に考え直さないといけない」「県もドメスティックバイオレンス(DV)被害を含め、困難を抱える女性からの相談を受け付け、安全を守るための一時保護も行っている。保護できていればとの思いを強く感じている」と述べられました。
先日開催されたシンポジウムでは、現在女性支援法やDV防止法に基づいて構築している相談の枠組みなどは紹介されましたが、警察との連携がどうあるべきかが分かりにくいものでした。
そこで共生担当局長に伺います。川崎ストーカー事件を受け、ストーカー被害やDV被害に悩む方からの相談事業を担う部局として、今後警察との連携が大きな課題となると考えますが、どのように取り組んでいくか見解を伺います。
次に、米軍の事件事故に対し実効的な再発防止を求めることについてです。
米軍基地機能が強化されている中で米軍関係者による刑法犯の数は引き続き多く発生していますが、今回は交通事故について質問します。
米海軍横須賀基地所属の米兵が2024年9月18日、横須賀市小川町で乗用車を運転中、右折禁止の交差点を右折し、直進してきたオートバイと衝突し、運転していた当時22歳の男性を死亡させました。
横須賀市内では米兵による交通死傷事故が、半年間で3件相次いでいます。本年2月には、米兵の車が横断歩道を渡っていた87歳の男性をはねる重傷事故が発生しました。
しかし、米軍側は市に即座に事故を知らせず、防衛省南関東防衛局を通じて連絡があったのは、発生から3週間後でした。
1997年の日米合意に基づいた日本側への速やかな通告がなされなかったのか、外務・防衛省が県への通告を怠ったのか、県が問い合わせてもどこで情報が滞っていたかは明らかにされていません。
4月27日にも米兵が運転する車が47歳の男性が運転するオートバイと衝突し、男性が死亡しました。
過去5年間に限っても、県内で米軍関係では毎年30数件の交通事故が発生しています。知事は事件事故に際し再発防止の申し入れを行う場合もありますが、この間の経緯を見ても、死亡事故を起こしてなお綱紀粛正が形骸化していることは明らかです。
横須賀市長は、横須賀基地の司令官に再発防止を直接申し入れました。市長は「(米軍から交通教育を)徹底してやっていると何回も聞いているが、(もう)分かりましたでは済まされない」と話しており、米兵による交通事故は地元で問題視されています。市長の訪問時、横須賀基地司令官からは、市と共同で交通教育の内容を検討したいとの意向が示されているとのことです。
小川町の事故の初公判では、兵士は起訴内容を認めました。裁判では、米兵が事故などで執行猶予付きの判決が確定した際に、「帰国させることを迅速に検討する」という米軍の方針があることが判明しました。また、検察側の被告人質問では、被告が事故後も基地内で週に4回程度、交際相手の車を運転していることが明らかになりました。
日本なら、免許取り消しか免許停止になるべき事案です。
警察によると、米軍関係者の公務外の交通事故は、日本人や日本在住の他の外国人も米軍関係者も同様に国内法令で対応することになっているが、免許証については警察の管轄外となっているとのことです。
被告は事故直後、憲兵隊に連れられて横須賀基地に戻っていましたが、明らかに警察が先に現場に到着して現行犯逮捕できる事案でも、米海軍憲兵隊が身柄を連行してしまう事案が相次いでいます。
在日米軍の運転免許証である在日米軍個人操縦許可書は、日本の交通ルールについての講義を受け、筆記テストに合格すれば一日で許可を取得できるとのことですが、これでは、国内ルールに比して、あまりにも甘いと考えます。
事実、被告は当時、標識は見たが何を意味するのか正確には分からなかったと報じられています。日米の交通事情の違いを考慮した実技の講習やテスト、危険周知ビデオを活用した定期的な講習を義務付けるべきです。
そこで警察本部長に伺います。警察が日夜交通安全対策に取り組んでいても、米軍の不適格な運転者がハンドルを握ることが大いにあり得るという実態があります。
在日米軍個人操縦許可書の効力の停止や取り消しなどの行政処分については、道路交通法に明記されておらず、警察の管轄外になっています。県警察に権限がないのは承知していますが、道路交通法に位置付けて国内法と同様の扱いにするよう、関係機関に申し入れるべきと考えますが、見解を伺います。
次に、米軍の事件事故の情報提供のあり方と綱紀粛正についてです。
情報提供については、沖縄と本県の性犯罪情報が自治体に伝わらなかったことを受けた昨年9月の私の一般質問で、米軍犯罪情報を沖縄県のように県警と連携を強め確実な把握に努めるべきという質問には、「国に適切に情報が伝達されるよう求めていく」と何度も繰り返された答弁を重ねるだけでした。
今回の交通事故に関しても国から自治体に寄せられる時期が非常に遅れている実態があり、今度こそ改善が必要だと考えます。
米軍基地の整理、縮小、返還を求める本県が、県内で県民が米軍関係者から被害を受けているのにそのことを県が把握できていないというのは、相当恥ずかしく情けない事態です。
情報が来なければ来るように改善を図るのが、真摯な対応ではないでしょうか。
そこで知事に伺います。米軍の事件事故の情報提供について、日米合意に基づく速やかな情報提供が行われていない実態があります。国経由のルートをただ待つのみではなく、県警と協力し、沖縄県が構築したような、逮捕や書類送検した時点で県警から直接県が情報を得るルートを築くべきと考えますが、見解を伺います。
また、米軍関係者の事故に関し厳正な再発防止を行うためには、国内法に相当するレベルの運転資格や、国内で求められる水準の交通教育を課すことを具体的に国と米軍に申し入れるべきと考えますが、見解を伺います。
さらに、在日米軍個人操縦許可書の扱いについては公務外では国内法を適用するよう日米地位協定の改定を行うことを国と米軍に求めるべきと考えますが、見解を伺います。以上です。
黒岩知事:安全安心の神奈川についてお尋ねがありました。
米軍の事件事故の情報提供のあり方と綱紀粛正についてです。
県警から直接情報を得るルートを築くことについてですが、平成9年の日米合意により在日米軍に係る事件・事故が発生した際には、米軍からの情報を受け、国が自治体に通報することになっています。
当該日米合意により、情報提供の責任を有する国と米軍から、関係する自治体に対して確実かつ速やかに情報提供が行われるよう、引き続き制度の適切な運用を国に強く求めていきます。
また国内と同水準の運転資格交通教育を課すことについてですが、日米の交通規則等には異なる点があるため、運転する米軍人等への事前教育が重要です。
そこでこれまで本県では、私が会長を務める渉外知事会を通じて、米軍人等への日本の交通規則等に関する講習の実施、運転時における当該講習の受講証明書の携帯義務付けなどを国に求めてきました。
日米で連携し実効性のある交通安全対策を講じるよう、引き続き国に働きかけてまいります。
なお日米地位協定上、米軍が発行する運転許可書は国内法上有効なもの、とされ、かつ日米地位協定上公務外の米軍人等の運転に国内法を適用しないとの規定はないことから、県としてご指摘の問題について日米地位協定の改定を求める考えはありません。
私からの答弁は以上です。
山本共生担当局長:共生関係のご質問にお答えします。ストーカーやDV事案を警察が察知した際の福祉部局との連携についてお尋ねがありました。県ではストーカーやDV被害など様々な困難を抱える女性の相談支援や心身の安全を守るために一時保護を行っています。
また、警察が受けた相談について被害者の一時保護が必要な場合などは、警察から県や市町村に連絡があり、連携して対応しています。
こうした中で、県では今回の事件を大変重く受け止め、先日、ストーカーやDVに悩む方の不安に応えるため、被害者目線に立って支援の仕組みを伝え、その課題や対策などを考える緊急のシンポジウムを開催しました。
シンポジウムでは被害者に寄り添うことや、警察と行政などの支援機関が相談者の情報を共有する必要性といった様々なご意見をいただきました。
またシンポジウムを受け、警察をはじめ関係機関で構成する支援調整会議を開催し、警察と行政がそれぞれの専門性を生かして被害者を見守り続ける大切さや、情報共有の方法、研修の充実など、具体的な連携策などについて議論しました。
今後いただいたご意見等を踏まえ被害者目線の支援の充実に向けて行政と警察の連携強化策などを検討し早急に取り組んでまいります。
私からの答弁は以上です。
和田警察本部長:川崎ストーカー事件のような悲劇を繰り返さないための対策についてお答えします。
まずはじめに川崎市内で発生した事件につきましては、昨年6月以降被害者やそのご家族から相談を受けていたにもかかわらず、結果としてこのような重大な事案となったことを重く受け止めております。
被害者及びご遺族には心から哀悼の意を表します。本事件につきましては被疑者を死体遺棄容疑で通常逮捕し、さらにストーカー規制法違反容疑で再逮捕しており、引き続き被害者が行方不明になるまでの経緯をはじめ、事案の全容解明に向けて捜査を尽くしてまいります。
また昨年6月以降の一連の対応状況につきまして、現在、県民部長を長とする検証チームを編成して確認を行っており、県公安委員会の指導の下、捜査状況も踏まえつつ、できるだけ速やかに結果を取りまとめ公表したいと考えております。
人身安全関連事案は事態が急展開して重大事件に発展する恐れが高いことから、県警察では検証チームにおける確認結果も踏まえ、体制や研修等の点も含め、対応について改善すべき点があれば改善し、被害者等の安全確保を最優先に対応してまいります。
次に、米軍の事件事故に対し、実効的な再発防止を求めることについてお答えします。
日米地位協定では、合衆国軍隊の構成員などに対して発給される運転許可書等については、日本で運転する際に有効なものとして承認すると規定されております。
合衆国軍隊の構成員等が交通違反や交通事故を起こした場合は、現場において必要な捜査が行われ、受検・送致されるなど、日本の免許を受けている者と同様の取扱いとなります。
他方で、道路交通法に基づく運転免許の停止や取り消しなどの行政処分の対象は、日本の免許を保有しているものであり、運転許可書等による運転者は、道路交通法に基づく行政処分の対象とはなりませんので、米軍へ通知を行い、米軍において当該事実に基づき、然るべき措置を実施しているものと承知しております。
日米地位協定に関しては、県警察としてお答えする立場にございませんが、県警察といたしましては、合衆国軍隊の構成員等による交通違反等について、今後とも厳正に対処してまいります。以上でございます。
大山議員:ご答弁いただきました。それでは一点、米軍の事件・事故に関し警察本部長に再質問させていただきます。
在日米軍個人操縦許可書については米軍がしかるべき対応をすると承知しているとのご答弁でしたが、警察は警察の管轄外になっているこの操縦許可書に関し、どういう処分がなされているのか、米軍に確認しているでしょうか。伺います。
和田警察本部長:警察関係の再質問についてお答えします。
警察は操縦許可書に関し、どういう処分がなされたのかを確認しているかについてお尋ねがありました。
県警察では、合衆国軍隊の構成員等に対して発給される運転許可書等に対する処分について、確認する立場になく確認しておりません。以上でございます。
大山議員:はい。それでは要望を申し上げます。川崎のストーカー事件に関してです。
警察本部長からご答弁いただきました。
検証チームの検証を経て、人員体制や研修も含めて見直していかれるということで、それは速やかに効果的に行っていただきたいということを申し上げます。
また共生担当局長からは速やかな連携のことに対する思いを伺いました。警察がDVやストーカーの相談を受けた際に、適切に福祉部局につなぐことができるかどうかが、今後の再発防止の鍵になると思います。まずは今できることとして警察の窓口に相談カードを設置された――DV相談などのカードを設置されるということは緊急にできることで価値があると思いますが、児童相談所から警察に通告するルートを、速やかなルートを構築されたような積極的な改善を両者で検討されることを要望いたします。
次に米軍の事件事故です。在日米軍個人操縦許可書について米軍がしかるべき対応するだろうと、警察は確認する立場にないとおっしゃいましたが、じゃあ誰が確認してくれるんでしょうか。県民の安全を誰が守ってくれるんでしょうか。
現にこの米兵、被告米兵は交通ルールを無視して死亡事故を起こしていた。それなのに裁判で明らかになりましたけど、在日米軍個人操縦許可書は停止もされておらず、取り上げもされていません。公道に出る可能性だってあるわけです。日頃の警察の頑張りが無駄になるような、こういったことを放置することは許されないと指摘しておきます。
被告人は死亡事故発生後も在日米軍操縦許可書を停止取消されることなく、週に4回運転していることが明らかになっているのです。
米軍関係者によって死亡事故等重大事故が発生しても、免許証の扱いについては道路交通法に明記がなく、その扱いは米軍に委ねられていることが明確になりました。そしてその状態に警察も知事も手をこまねいている。免許制度に穴があるわけです。
この国は被占領国なんでしょうか。
知事はおっしゃいましたけれども、その操縦許可書の処分を米軍に委ねないという決まりはない。
委ねないという決まりはないから国に改善を求めないと言いましたけれども、何の決まりもないんですよ。申し上げましたように。
在日米軍個人操縦許可書に関しては、有効なものとするという日米地位協定10条があるだけで、この米軍の個人操縦許可書を誰が処分の対象なのか、処分する権限があるのかという決まりがないんです。日米間で決まりがないところを運用上で実質的に国や警察の手から離れているというのが実情です。
これは渉外知事会の会長であられるからこそ、国に改善を求めていただきたいと思います。
亡くなった若者の父親の方は、優しい息子だったとおっしゃっていました。亡くなった若者の母親は裁判でこのように述べました。このような米軍関係者による事故は逮捕拘留されることもなく、免許証のそのままで何事もなかったように帰国させて済んでしまうと思われないようにお願いします。
その後も事故は増え、悲しい事故もまた起きています。
息子の死を無駄にしないでください。
この訴えも虚しく、判決は執行猶予がついた実刑のないものでした。
ご遺族の痛切な声に真摯に応え、県民の命を守る立場として警察も知事も道路交通法に在日米軍個人操縦許可書を位置付け、これ以上犠牲を生まないよう国と米軍に対し最大限の働きかけを行うよう求めて質問を終わります。
ご清聴ありがとうございました。