日本共産党神奈川県議会議員団

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議会報告
2024年3月28日

井坂しんや議員の本会議討論(20240325)

2024年第1回定例会 本会議 反対討論

日本共産党の井坂新哉です。

私は日本共産党神奈川県議団を代表し、ただいま議題となっております定県第1号議案を含む21議案に反対の立場から討論を行います。

 現在、県民生活は物価高騰の影響を受け、大変厳しい状況にあります。賃金は上昇傾向にありますが、厚労省の発表では、実質賃金は22か月連続で減少しており、2023年の実質賃金は速報値で前年比2.5%減と厳しい状況が続いています。また、年金や生活保護費なども物価高騰に見合う引き上げが行われていない状況です。このようなことから、2024年度予算は県民生活を支え、福祉や子育て支援の充実に力を注ぐ必要があります。また、元日の能登半島地震や地球温暖化による風水害の発生など、防災対策の強化も喫緊の課題となっています。

そのような中、県は小児・重度障害者・ひとり親家庭の3つの医療費助成など、政令・中核市の補助率を引き上げたことや私学助成の拡充、不妊治療費助成の対象を拡充したこと。また、水防災戦略に基づいて河川やがけ地対策などの防災対策の強化を図り、新たにがけ地近接等危険住宅移転事業費補助を実施するなど、防災対策の強化につながる点については評価しています。

 令和6年度の一般会計予算には、そのような前進面がある一方で、必要性や優先度が低い事業などを続ける予算も計上されており、事業の中止や見直しも求められます。

 まず、「定県第1号議案令和6年度神奈川県一般会計予算」と「定県第36号議案かながわグランドデザイン基本構想の変更について」です。

 まず、ヘルスケア・ニューフロンティア政策についてですが、これまでも指摘してきましたが、県が進めようとしている未病関連事業は未病サービスや関連商品の消費を促すための産業支援であり、県民の健康維持を第一の目的にしたものではありません。本来、介護予防や健康増進のために県が優先して行うべきことは、市町村が行う特定健診や特定保健指導、健康診査や健康教育、がん検診などを支援することです。未病関連事業は見直しが必要です。

 次に、企業誘致施策についてですが、この件についてもこれまでも指摘してきた通り、神奈川県の立地条件などを考慮すれば、大企業を含む企業誘致施策に過大な税金投入を行う必要はないと考えます。また、この関連では定県第26号議案企業の立地の促進に係る不動産取得税の税率の特例に関する条例の一部を改正する条例についても併せて反対をするものです。

次にこれまでも中止や見直しを求めてきた不要不急の開発事業等についてです。

受託リニア中央新幹線建設推進事業費や東海道新幹線新駅の誘致とそれに関連したツインシティ計画、明治記念大磯邸園整備、政令市市街地再開発臨時補助金、道路橋りょう事業における国直轄事業負担金の中には、横浜湘南道路の費用が計上されており、これらの事業については中止や見直しが必要と考えますので反対をいたします。また、定県第39号議案県道路線の認定及び廃止については、ツインシティ計画に関連する橋の建設を含む道路である湘南台大神伊勢原線の認定が議案となっていますので、併せて反対をするものです。

さらに令和6年度予算において、村岡地区新駅設置建設事業費として2984万5000円が計上されるとともに新駅の工事費総額159億円の内、県負担分として9年間で46億5000万円の債務負担行為が設定されています。

この積算は2023年8月の資材費や設計労務単価を元に算出されているとのことですが、設計労務単価は2024年3月から公共工事で5.6%の引き上げがされ、さらに2024年4月からの建設工事の残業規制や週休2日制の導入などを考えれば、この工事費で済むとは思えません。

必要性や優先度も低く、藤沢市民、鎌倉市民からも新駅設置の必要性がないと反対意見も多くあるように、地域住民の要望から進められている事業とは言えませんので事業の中止を求めます。

 次に、県立高校改革についてです。

 本県の高校1校当たりの生徒数は、全国一多いにも関わらず、さらに大規模化を生み出す高校の統廃合はやめるべきです。また、学校の特色付けによる弊害も現れ始めていることから県立高校改革は大幅な見直しが必要です。

また、教育環境との関連では、朝鮮学校への学費補助を復活させるべきです。共生社会を標榜する本県行政が特定の外国人学校にのみ「前提」を設けていることは県弁護士会からも警告されている差別的取り扱いというほかありません。すべての子どもたちに学びを保障すべきであり、朝鮮学校に対して学費補助を支給することを強く求めます。

次に、横浜で開催される国際園芸博覧会についてです。

私たちは、今議会の質問趣意書でこのことについて、何点か質問をさせていただきました。私たちは、国際園芸博覧会のそもそもの意義は大切なことと思っていますが、半年で総入場者数1500万人、有料入場者数1000万人という見込みは過大であり、建設費や運営費を含め規模の縮小が必要と考えています。

特に、運営費の360億円は、主に入場料などの収入と企業の寄付で賄うとされていますが、これまで実施されている園芸博の入場者数をみると、現在開催されているカタールでの園芸博の入場者数の目標は300万人。2000年代に入ってから開かれた7回の園芸博の内、500万人未満が6回、900万人台は北京の1回のみとなっており、いかに横浜の1000万人の想定が大きいかがわかると思います。

また、会場への交通問題も重大で、目標人数が会場に来るとなれば、周辺道路の混雑は今まで以上のものとなり、大きな混乱を招くことになりかねません。

このような、過大な設定自体を見直す必要がありますが、答弁では、来場者数の見直しは必要ないとのことです。

また、質問趣意書では2008年に開催されたY150・横浜開港祭において横浜市が大幅な赤字補填をしたことを例に出し、万が一赤字となった時の県民負担等について質問しましたが、赤字にならないように取り組むとだけの答弁で、誰が最終の責任を取るのかなどについて全く言及をしていません。

 このような状況で、国際園芸博覧会を推進することに大きな懸念を持つとともに規模の縮小を含めた大幅な見直しが必要と思います。

次にライドシェアの実証実験に係わる予算についてです。

昨年8月に降ってわいたようにライドシェアの導入について県の方向性が示され、国の動きと相まって導入に向けての検討が進んでいます。

ライドシェアは、安全性や運転手の労働条件の低下など多くの懸念が示され、昨年10月の民間調査会社のWEBアンケートでは15~79歳の60%以上の方が、導入に反対との結果が示されています。

今回予算計上されている神奈川版ライドシェアは、三浦市の夜間のタクシー不足などの地域課題を解決するための実証実験であるとのことですが、ライドシェアありきではなく、まずは、タクシー需要の把握や事業性の調査などの現状把握を行うべきです。

課題も多く、何よりタクシー運転手の労働状況が悪くなるのは目に見えており、導入ありきのように進んでいるこのような事業はやめ、本当に三浦市の地域課題の解決につながる施策の実施が必要と思います。

 次に議会費についてですが、これまでも指摘してきた通り、県政調査については、視察の必要性があれば政務活動費で行うべきと考えます。

 この議案の最後として、知事の米軍基地に対する姿勢についてです。

今年の後半に横須賀に配備されている原子力空母ロナルド・レーガンが、リニューアルされ、近代化された原子力空母ジョージ・ワシントンに交代することが発表されています。これで、原子力空母の交代は2度目となります。質問趣意書で原子力空母の配備撤回を国と米軍に求めるよう質問したことに対して、知事は、配備の撤回を求めることはしないとの答弁でした。 県に決定権がないにしても、米軍基地の整理・縮小・返還を県是とする知事であるならば、原子力空母の配備撤回を求めることはできるはずです。このような姿勢を改めるべきです。

さらに原子力軍艦の防災対策の質問については、国の責任のもとで統一的に定められた計画、マニュアル等に沿っているとのことでした。しかし、日本の原発では万が一の事故の際に半径5㎞と半径30㎞の範囲で、住民の避難計画を策定することが義務付けされていますが、原子力空母の場合は半径1㎞が避難、半径3㎞は屋内退避となっており、避難の対象範囲があまりにも小さい状況です。そのため住民の具体的な避難計画すらありません。福島第1原発の1号機と同規模の原子炉を積んでいるにも関わらず、このような対応で十分としている姿勢は、県民の安全を守るという視点が欠けていると思います。このような姿勢を改めるように求めます。

以上述べてきましたが、予算の中の不要不急の事業は、中止や見直しをし、これらの事業予算は、防災対策のさらなる強化に振り向ける必要があると思いますので、定県第1号議案に反対いたします。また、これらの予算の基本的な考え方となっている定県第36号議案かながわグランドデザイン基本構想の変更についても併せて反対をするものです。

 次に、定県第2号議案「令和6年度 神奈川県 市町村自治振興事業会計予算」、定県第4号議案「令和6年度 神奈川県 公営競技収益配分金等管理会計予算」についてですが、私たちは公営ギャンブルの廃止を求めておりますので、賛成できません。

 

 次に、定県第9号議案「令和6年度 神奈川県水源環境保全・再生事業会計予算」についてです。

 この事業における水源環境保全、再生への取り組みは、治山や水源林整備事業などが含まれており重要なものですが、こうした事業は、一般財源で対応し、県民に負担を求めるべきではないと考えますので反対します。

次に、定県第13号議案「国民健康保険事業会計予算」、定県第31号議案 国民健康保険法施行条例の一部を改正する条例」についてです。

この間、国の保険者努力支援制度の評価項目の中に、決算補填等目的の法定外繰入の削減目標が設定され、県内自治体でもこの繰入を大幅に削減したことで、住民の保険料負担が増大しています。決算補填等目的の法定外繰入の削減は、物価高騰の折さらなる保険料負担を県民に強いるものとなり、とても容認できません。また、2024年度の保険者努力支援制度の評価項目にはマイナ保険証の利用登録者率が追加されています。このような制度を使い、地方自治体に財政誘導を行い、マイナ保険証の導入を強制していくようなやり方はやめるべきと考えます。

高すぎる国民健康保険料を引き下げるためには、全国知事会も要望するように、国庫負担を増やし、少なくとも他の健康保険と同じような保険料負担率にしていく施策への転換を強く要望します。

 

次に、定県第16号議案「令和6年度神奈川県県営住宅事業会計予算」についてです。

 県営住宅事業会計では、健康団地計画に基づき新規の建設事業が進められています。計画が5年を経過したことで改定案が示され、次の5年間に新たに取り組む団地も示されるなど、計画の推進が図られることは評価しています。しかし、この事業はPFI方式で行う建替えも含まれており、相模原市の上溝団地と横須賀市の追浜第一団地において2022年度からPFI方式で建替えが進められています。PFI方式は、地元事業者の受注機会を狭めることや公共の役割を後退させる可能性があります。私たちは、PFI方式ではなく、県直営で進めるべきと考えていますので、この議案に反対いたします。

 次に、定県第18号議案「令和6年度神奈川県水道事業会計予算」についてです。

水道事業会計については、これまでも述べてきたように、箱根地区の包括民間委託については改めるべきと考えます。2024年度の箱根地区水道事業包括民間委託は第3期となり、これまでと違い契約期間が10年になるとのことです。これまでも世界的な水メジャー企業に日本での水道事業の運営のノウハウを習得させるための場となっていましたが、この事業者が日本のいろいろな自治体の水道事業や下水道事業を担う状況になっています。しかし、フランスのパリでは、この企業の水道事業運営によって、水質悪化や過大な配当があったため、再公営化を余儀なくされています。生活に欠かすことのできない水道を水ビジネスの多国籍企業の営利の対象とされないためにも、包括民間委託ではなく、公が責任をもって水を提供するために県直営に戻すべきと考えます。

また、今回の予算では、21日に可決された水道料金の引き上げを前提とした予算となっていますので水道事業会計に反対をいたします。水道料金の改定の実施まではまだ時間がありますので、ぜひ、低所得者に対する減免制度を導入するよう求めます。

次に、定県第25号議案「職員の給与及び通勤に要する費用の弁償に関する条例の一部を改正する条例」については、現年度議案で反対をした神奈川県立総合療育相談センターの入院診療のための病床廃止に関連した内容が含まれますので反対をいたします。

次に、定県第40号、41号、43号~47号、49号51号の9議案についてです。

これらの議案は、高齢者や障がい者施設の人員基準の緩和が含まれている議案です。これらは国の省令改正にともなう条例改正ですが、委員会質疑の中でも指摘しましたが、「管理上支障がなければ同一敷地内の兼務を可能とする」という規定から「同一敷地内」という文言を削除するものや一定の要件を満たす施設については、利用者3人に対して1人の職員配置とする基準を3人に対して0.9人でよいとするものが含まれています。

また、兼務を可能とする規定については、いくつもの施設を兼務してもよいということで、上限がないことなども答弁され、施設の適正な管理について条例上の担保がどんどん取り払われていくことに強い懸念を抱きます。また、配置基準についてもICTを活用し現場の負担を軽くしていくことは必要ですが、その分現場の人数を減らしてしまっては、今まで以上に、少人数で多くの利用者をケアしなければならなくなると思います。支援の質や安全の確保、職員の負担軽減を両立していくには、基準の緩和では実現できません。人材確保のための処遇改善こそ求められると思います。

 これら9議案には、指摘した内容のいずれかが含まれているため反対をするものです。

 以上のような理由を述べ、定県第1号議案を含む21議案に反対する討論といたします。


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