
2026年第3回定例会(前半) 質問趣意書
2026年9月16日提出
日本共産党神奈川県議団 井坂 新哉
I.災害対策、防災対策の強化について
(1)防災備蓄について
7月28日に発生した熊本地震では、多くの方が亡くなり、今なお避難されている方も多数います。熊本では、10年前の地震から避難所の体制があまり進んでいないとの指摘もあり、災害が多い日本の避難所対策の強化は急務となっています。
避難所の設置、開設、物資の確保などは市町村の仕事となっておりますが、特に備蓄については市町村の役割であるため、どのような物資を備蓄しておくかについてはそれぞれの判断に任されています。
例えば、県内市町村の食料備蓄データを見ますと、主食の備蓄について大きなばらつきがあります。横浜市はお米(アルファ米等)の備蓄は0食ですが、代わりにパンを460,000食備蓄しています。一方、川崎市はお米を273,400食備蓄していますが、パンは0食となっており、相模原市はお米を234,750食、パンを168,720食とバランスよく配備しています。
また、乳幼児やアレルギーを持つ子どもたちを守る粉ミルクの備蓄でも自治体間での格差が生じています。
県内最多の備蓄量は厚木市の5,056kgとなっており、横浜市が3,250kg(うちアレルギー対応367kg)、藤沢市が612kgと手厚く備蓄している一方、県内の12自治体は常時備蓄が0、または空欄となっています。
さらに、体育館や避難所で避難者の距離やプライバシーを守るためのテントについても大きな違いがあります。
相模原市が6,261張、横須賀市が4,270張と突出していますが、人口が最も多い横浜市は918張、川崎市は908張となり、大磯町の4張や山北町の3張など、人口規模や避難者想定に対して配備が非常に少ない市町村が見られます。
このように備蓄品をみても各市町村で大きな違いがありますが、基本的に用意しておくべき備蓄品については、国が責任をもって支援することが必要と考えます。また、市町村だけで備蓄することが難しいものについては市町村と連携して県が備蓄するなどの検討も必要であり、備蓄の役割分担を見直すことが必要ではないでしょうか。そして、災害発生後の時間的な状況変化を見て、現地にとって必要な物資が迅速に届くように検討するべきと思いますが、知事の見解を伺います。
(2)福祉避難所の開設訓練について
福祉避難所は、要配慮者の避難所としてとても重要となっていますが、能登半島地震、熊本地震においても福祉避難所の開設が思うようにできず、多くの課題が指摘されています。
昨年、県は横須賀市、三浦市、鎌倉市で福祉避難所の開設訓練の支援を行い、横須賀市では二次福祉避難所開設・運営訓練と一次福祉避難所の要配慮者スクリーニング訓練、そして特別養護老人ホームを活用しての三次福祉避難所開設・運営訓練を実施しました。また、三浦市では特別養護老人ホーム、鎌倉市では老人福祉センターを利用しての福祉避難所開設・運営訓練を行いました。
この事業については、報告書が本年2月に出されています。それによると、訓練参加者のほぼ全員が「訓練は役に立った、理解できた」と回答し、訓練の効果が非常に高かったことが見て取れます。特に、福祉避難所に行くまでの流れや開設のための準備など、連絡・調整・受け入れの一連の流れを体験することで「マニュアルを読むだけでは得られない実践的な理解」が深まったという声も多く、実際に体験することの重要性が参加者から出されていました。まずは、最初の取り組みとして非常に高い成果を上げたと思います。
一方で、課題も指摘されています。
共通して出された課題としては、職員研修・知識習得が不足していることが最多となり、マニュアルの整備・見直しについては、今回の訓練を行ったことで、スクリーニングの基準、受け入れ判断フロー、聞き取りの書式などマニュアル等に明示すべき事項が指摘され、改善が求められるとのことです。
この他、連絡体制・情報共有の整備、開設のための設営訓練や備蓄品の充実、人員確保と体制の継続性などが挙げられています。
このような状況を見ても、昨年の訓練については非常に有意義なものだったと考えますが、県としてどのように評価し、どのような課題が浮き彫りになったと考えているのか、知事の見解を伺います。
また、今回の訓練は、県がそれぞれの市町村を支援し、情報共有を進めるという点でも大変重要な取り組みであり、今後このような訓練を県内の全市町村で実施できるようにすることが大切です。県としてこの事業を継続し、全市町村が訓練をできるようにするべきと考えますが、県としての方向性について知事の見解を伺います。
(3)個別避難計画について
福祉避難所の開設訓練と併せて要配慮者の個別避難計画の策定は、県内市町村も取り組んでいるもののなかなか進まない状況です。
町内会・自治会を通じて、要配慮者の把握や計画策定の承諾を得るなどの作業を進めることとなりますが、それぞれの町内会・自治会が取り組むことには限界があります。
個別避難計画の策定を進めるためには、日常から要配慮者と接している方が参加して計画作成に関わり、自治体や事業者、町内会等と連携を取ることができれば、実効性が高まると思います。
例えば、介護保険を利用している方であればケアマネジャーや地域包括支援センターの職員、障害福祉であれば計画相談にあたっている相談支援専門員などが参加し、個別避難計画の策定に携わるようにすることです。
ただ、そのためには、計画策定のための報酬を支払うために県や市町村が補助金等を創設し、対応することが必要になると思います。
県として個別避難計画の策定にケアマネジャー等がかかわることについてどのように考えているのか、知事の見解を伺います。また、そのために補助金等の創設を行うべきと考えますが、知事の見解を伺います。
(4)浸水想定区域の見直しについて
本年8月には千葉県、北陸の3県などで豪雨災害が発生し、9 月には名古屋市でも豪雨により地下鉄や地下街に水が浸入し、大きな被害をもたらしています。
被害が大きかった千葉県では、9月7日時点で死者13人、重軽傷46人、建物の被害が全壊12棟、半壊と一部破損で2,455棟、床上・床下浸水は合計3,753棟となっています。
また、報道によれば千葉市中央区、緑区、柏市等の浸水想定区域外でも被害が発生しているとのことで、一般的な下水道が処理できる雨量である1時間に50ミリ程度に対して、今回は1時間に100ミリを超えていたため、排水が追いつかず、内水氾濫が起こったからとのことでした。
本県は、浸水想定区域図を作成するとともに、河川整備、遊水地の設置、地下貯留槽の設置などで大雨による災害対策を行っています。しかし、今回の千葉県の豪雨災害での内水氾濫の状況を見ると、本県で作成している浸水想定区域の見直しが必要になっていると思います。
県として、近年の豪雨災害を参考にして、市町村が策定する洪水や内水のハザードマップ等を含めた浸水想定区域の見直しを行う必要があると思いますが、知事の見解を伺います。
II.県立病院の諸課題について
(1)県立病院の看護師不足と労働環境の改善について
本年6月に診療報酬の改定が行われ3.09%の引き上げになったとはいえ、物価高騰や人件費の増に追いつかないなど、実際の病院経営を改善するだけの報酬増とはなっていません。
県立病院でも経営は厳しい状況となっており、その要因の一つとなっている看護師不足については、早急に解決しなければならない重要課題です。
先日、県立こども医療センターに勤務する看護師の方から話を聞くことができました。
現場では「やりたいことができない」だけでなく、患者サービスの低下として、例えば、患者のシャワー・入浴回数を減らさざるをえなかったことや食事提供が遅れること、家族に寄り添う時間の確保が困難になっていることなどが出されました。また、ICUに関しても、経験のある人材の不足が重なり、教育や安全の確保が課題となっているとのことでした。
看護師不足は、これらのサービスに影響するほか、労働環境の悪化にもつながっているとのことで、年次有給休暇の取得(法律上の5日)すら十分に守られていない状況もあるとのことでした。
県の調査によると県立 5 病院の看護師の年次有給休暇の取得状況は、1年間で20日の付与日数に対して、こども医療センターでは平均で10.4日、循環器呼吸器病センターでは10.3日となっています。これはあくまでも平均であることや保健師や任期付職員等を含んでいるため、正規職員の取得はもっと少ない可能性もあります。このような状況を早急に改善しなければなりません。
県として県立病院の看護師不足への対応と看護師等の労働環境の改善のためにどのように取り組むつもりなのか、知事の見解を伺います。
(2)県立病院でのクラウドファンディングについて
県立こども医療センターでは、PICU病棟へのスマートポンプの導入を目指して、本年3月2日から6,000万円を目標としてクラウドファンディングを実施し、5月29日に寄付者2,250名、目標額を上回る7,211万円が集まり、終了しました。
スマートポンプの導入は、看護師がこどもや家族に向き合う時間を作るうえでとても有効なものとのことです。
県の説明では、手術後、強心剤や尿を出しやすくする薬、鎮静剤や鎮痛剤など数種類の薬を非常に微量でゆっくりと投与するため、1つの薬につき1台のシリンジポンプが必要となり、1人あたりおよそ10台から15台を使用します。看護師はそのポンプの状況を1時間ごとに2名体制でダブルチェックを行い、電子カルテへ手入力していくため、とても時間がかかっていました。一方、スマートポンプにはAIが搭載されており、設定値に対する稼働状況の把握や記録を自動で行い、エラーなどを警告表示する機能を持っているため、看護師の確認作業の負担が減り、こどもや家族に寄り添い、より手厚く親身な看護ができるようになることが期待されるとのことです。
このようにとても有用で機能的な機器であるため、今後の十分な活用が期待されます。
しかし、一方で、これだけ有用な機器であり、看護師の負担軽減や患者や家族へのサービス向上が図られるのであれば、本来はきちんと計画的に予算を立て導入すべきものであり、クラウドファンディングのような不安定な財源で導入するものではないと思います。
県立病院の厳しい経営状況があるとはいえ、本来、県が支援をしてこのような機器の導入を図るべきと考えます。また、今後、同様に重要な機器の導入に対してクラウドファンディングを進めることが当たり前になるのでは、本来の病院機能を向上させることにつながらないと考えます。
今回のクラウドファンディングの成功を捉えた上で、今後のクラウドファンディングを実施する際の基準を作ることが必要と思いますが、知事の見解を伺います。
Ⅲ.看護師確保について
(1)修学資金貸付制度の拡充について
現在、地域医療構想の改定に向けて県として論議をしている状況です。特に看護師不足は深刻で、県の看護職員の目標数9万7,038人に対して実際は8万9,205人となっています。
県は、看護師確保のための修学資金貸付事業を行っており、看護師や保健師等に対して公立では月額1万7,000円、私立では月額2万円。免除要件も5年間もしくは3年間の県内就労となっています。しかし、支援額や対象等が近隣地域と比較して低い状況があります。
例えば、東京都では月額2万5,000円~10万円と就労要件などによって金額が変わります。また、埼玉県では公立では月額2万2,500円、私立では4万5,000円。静岡県、山梨県では公立で3万2,000円、私立で3万6,000円となっています。
このように県の修学資金貸付制度は貸与額が低く、制度の拡充が必要と思いますが、知事の見解を伺います。
(2)看護師等の就職支援と病院の採用支援について
県内の病院等からは、看護師を採用するための派遣業者への費用が高額で大変だとの声もあり、2026年第2回定例会で県議会として国に「医療機関が有料職業紹介事業者に支払う高額な手数料の是正を求める意見書」を提出しました。一方、神奈川県看護協会が運営しているナースセンターは無料相談と看護師の紹介事業なども行っていますが、人員や予算、システムなど紹介事業のノウハウがあまりないこと等から、その事業があまり進んでいないとのことです。
看護師の当事者団体であり、利益を追求する団体ではないことから、広報戦略やシステム改良の支援など、県としてこの事業に対する支援をする必要があると思いますが、知事の見解を伺います。
また、県が「かながわjobフェア」として就活セミナーや面接会を実施していますが、同様な支援を看護師の就職フェアや就職マッチング事業などに対しても行うことが必要と思いますが、知事の見解を伺います。
IV. 特別支援学校の教育環境の整備について
(1)生徒数の増加への対応と新たな学校整備について
教育委員会の資料によると、近年特別支援学校に通う児童生徒が増えています。特別支援学校の在籍者では2022年度には、幼稚部から高等部まで総数で8,202人だったものが、2025年度には8,681人と479人の増となっています。そのため各支援学校では教室が不足して、特別教室を普通教室に転用する状況が増えています。2022年度から2025年度までで、12校で34教室の転用が図られています。また、平塚支援学校や保土ケ谷支援学校では、教室不足の対応としてプレハブ教室を設置しており、両校で24教室、192人を受け入れています。
県は、藤沢支援学校の肢体のクラスの設置、(仮称)川崎南部支援学校、(仮称)横浜東部支援学校の設置の方向性を示していますが、それだけでは児童生徒の増には対応しきれない状況です。
県教育委員会はこのような状況をどのように認識し、どのように対応をしようと考えているのか、教育長の見解を伺います。
また、これらの課題に対応するために統廃合された小・中学校や県立高校を転用することも検討する必要があると思いますが、教育長の見解を伺います。
(2)老朽化対策について
特別支援学校では老朽化対策も喫緊の課題であり、校舎・設備の老朽化が日常運営だけでなく災害時にも重大なリスクになると指摘されています。具体的には、給水管が古くなっているがなかなか交換されない。エアコンが故障しているが改修が遅い。雨漏りの改修が遅く天井にカビが生えている。体育館の雨漏りがひどい。重くて開閉がしにくい教室のドアの改修がされない。地盤沈下が起こっているなど、多岐にわたって老朽化の現状があります。
県教育委員会によると、2025年度では特別支援学校の老朽化対策等として、新まなびや計画に含まれる長寿命化対策などで約5億6,120万円、各所営繕費として約2億4,005万円、小破修繕の維持修繕費として約4,479万円が計上されたとのことです。しかし、特別支援学校は29校、分教室は20教室ある中で、これだけの費用では到底現場の要望に応えることはできないと思います。
特別支援学校の老朽化対策を強化するために大幅な予算の増額が必要と思いますが、教育長の見解を伺います。
(3)特別支援学校の教員不足の解消と免許取得への支援について
これまで述べてきたように、児童生徒の増への対応には、教員不足の解消も大きな課題です。教育委員会の資料によると特別支援学校の教員不足は深刻で、2026年度では定員数3,443人に対して74人も不足する状態です。このような状況に対して、県教育委員会として採用を増やすためにどのような取り組みをしているのか伺います。
また、非常勤で勤務している教員については、優先的に正規教員として採用するなどの対応も必要と思いますが、教育長の見解を伺います。
また、国の調査によると支援教育にかかわる教員の免許取得状況は、86.7%となっています。県教育委員会は免許取得のために夏休みに講座などを行っているとのことですが、非常勤の教員なども含め希望する教員に積極的に講義を受けてもらえるような支援策の拡充が必要です。教育長の見解を伺います。
V. 三浦半島中央道(桜山・長柄区間)の見直しと逗葉新道の無料化について
(1)三浦半島中央道(桜山・長柄区間)の必要性に関する交通量等の比較について
昨年、一昨年と三浦半島中央道の桜山・長柄区間について都市計画変更の説明会などが行われ、都市計画案の縦覧および意見書提出が9月10日まで行われていました。
そもそも三浦半島中央道は1993年に都市計画決定されましたが、桜山・長柄区間については、住宅地の直下でごく浅い深度にトンネルを掘る工事で、周辺は脆弱な風化泥炭層を含むため直上の周辺住民に多大なリスクを強いる上に、逗子側では大規模な山の開削工事が予定されているため環境への影響も非常に大きいものとなっています。しかし、この道路建設の効果が明確に示されておらず、いまだに多くの周辺住民の理解を得られていない状況です。今回の計画変更に伴う住民説明会や公聴会でもそもそもの道路計画の必要性を問う声が出され、この計画の見直しが求められました。
説明会等で示された資料での交通量予測では、現在でも混雑が顕著な逗子側坑口の逗子警察署入口交差点周辺では、桜山・長柄区間の開通により、数千台規模の交通量の増加が予想されており、近接した既存の3つの交差点がさらに複雑化することもあり、住民からはさらなる混雑が懸念されています。これに対して県は、県道24号線に「右折レーンの設置と信号調整で対応可能」と説明していますが、県はその定量的な根拠を何も明らかにしていません。また、県は都市計画変更の説明の際に「災害対策のためまっすぐな道路が必要」と話をしていますが、逗子側が現在より混雑する事態となれば、この付近の車の通過時間は現在より長くなる可能性が高く、災害対策として効果があるのか疑問が残ります。
このような疑問等を解消するためにも、交通量予測に基づき逗子側の混雑度や建設効果について定量的に検証できる数値を示す必要があるため、以下の数値の回答を求めます。
1つは、ピーク時間帯における桜山75号線のJR踏切の「閉鎖時」と「非閉鎖時」(JR通過本数は、平日17時台で上り4本、下り4本、18時台で上り3本、下り3本)の「北側トンネル建設あり」と「建設なし」の全ケースについて、以下の数値を示すこと。(いずれも便益計算の元になる2040年の値)
① 逗子側坑口周辺の「逗子警察署入口」「逗子葉山高校入口」「逗子警察署の西40mにある桜山75号の交差点」の3か所の混雑度(V/C)。
② ピーク時に踏切閉鎖が連続した場合、踏切の待ち行列が(仮称)逗子警察署西側交差点・逗子警察署入口交差点まで到達し、交差点機能を阻害するかどうか、定量的に検証するためにこの3つの交差点、及び桜山75号線のJR踏切における最大滞留長・最大渋滞長。
③ 湘南国際村入口交差点を含むゾーンから、逗子警察署を含むゾーン、及び逗子消防署を含むゾーンまでのOD旅行時間。
また、上記①~③との比較対象として以下の数値を示すこと。
④ ①に記載した3か所の交差点のピーク時間帯の観測交通量に基づき算出した交差点の混雑度。
⑤ 過去に実測された各交差点の最大渋滞長・最大滞留長(平成 26 年 12 月調査等、上記①の交差点と桜山75号の踏切)。
⑥ 現況配分に基づき、③と同ゾーン間のピーク時間帯のOD旅行時間。
2つには、桜山・長柄区間の建設がどの道路の渋滞緩和に役立つのかを具体的に示すために、県のホームページで「周辺道路の交通量の変化」に示されている①~⑧地点、A~H地点での道路に加えて、周辺道路である桜山151号線(葉桜団地入口交差点~川久保交差点)と県道311号線(長柄交差点~田越橋交差点)について、桜山・長柄区間の「建設あり」と「建設なし」の2040年の方向別の予測交通量を示すこと。
また、これらの予測値を含めた交通量予測の詳細データについては、市民からの情報公開請求に対し県が公開を拒否したと聞いています。多額の税金を投入する道路建設の効果を示す最重要データであることから、透明性を期すためにも公開するべきと思いますが、知事の見解を伺います。
(2)逗葉新道の無料化について
桜山・長柄区間の計画に関しては、住宅街の通過車両の解消も大切な課題となっています。
しかし、この通過車両の多くは、有料の逗葉新道を回避するための迂回車両と推測されます。三浦半島中央道の必要性を考える上で、逗葉新道の無料化を併せて検討する必要があると思います。そのためには逗葉新道を無料化した場合の交通量予測を行い、桜山・長柄区間を建設することと逗葉新道を無料とすることのどちらが費用対効果が高いのかを比較検討する必要があると思いますが、知事の見解を伺います。
(3)逗葉新道の利益の使途について
県道路公社が所管していた本町山中有料道路は、2022年3月に料金徴収期間を終え県道に移管しましたが、その際、建設費用の 154 億円の償還には、主に有料道路料金から積み立てられた償還準備金の66億5,237万6,115円と道路事業損失補填引当金の18億6,091万382円が充てられました。しかし、それだけでは償還ができなかったため、不足分の68億8,671万3,503円は特別損失として計上され、県道路公社の剰余金が充てられています。
県道路公社の剰余金の内訳をみると、逗葉新道の利益の他、駐車場や土木試験所、付帯事業の利益が計上されており、それらの割合から換算すると本町山中道路の償還不足分の少なくとも約57%、約40億円が逗葉新道の利益で賄われたことが想定されます。
本年8月下旬に私たちは、国交省に対して逗葉新道の無料化について聞き取りを行った際、国交省は県道路公社から本町山中道路の償還不足分の原資については「駐車場利益と県の出資金の支払の猶予という形で充当しており、逗葉新道利益は充てていない」と回答されたと説明しました。
しかし、本町山中道路の償還不足分の特別損失を差し引く直前の剰余金は116億6,914万9,996円、特別損失を差引いた後の2021年度末剰余金は47億8,243万6,493円となっています。一方2021年度末までに剰余金として累積された逗葉新道の利益の総額は67億161万1,394円ですから、「逗葉新道利益を本町山中償還には使わなかった」という説明は成り立ちません。
このような状況から、出資金の支払猶予の原資についての回答を求めます。
また、そもそも、神奈川県道路公社定款第23条第2項によれば「毎事業年度の損益計算上損失を生じたときは、前項の規定による準備金を減額して整理」することが規定されており、準備金とは剰余金の前年度末の額を意味します。毎年度の当期利益に占める逗葉新道利益は約70%であることを考えれば、定款第23条2項は、一般有料道路(道路整備特別措置法)の償還不足分の主たる財源として一般自動車道(道路運送法)である逗葉新道の利益を充てることを当初から計画しているととることができます。本町山中道路は独立採算が基本となっているにも関わらず、逗葉新道の利益を充てることは、道路整備特別措置法の理念に反すると思いますが、法的な問題はないと考えているのか知事の見解を伺います。また、そのようなことが常態化しているとしたら経営方針としての問題があると考えられますが、知事の見解を伺います。
(4)三浦半島中央道の計画の見直しについて
これまでも示してきたように、三浦半島中央道(桜山・長柄区間)については、交通量予測の検証や費用便益計算の具体的根拠など多くの課題を含んでおり、その必要性について再度検討することが求められます。
また、湘南国際村の都市計画とも関連する横須賀市部分では、計画が全く進んでいません。
国交省の「都市計画運用指針」を受け、県は 2006 年に都市計画道路の見直しガイドラインを示し、いくつかの道路の計画見直しを進めました。また、逗子市も葉山町もこれらの指針を受け、都市計画の見直しを2014年に行いましたが、三浦半島中央道(桜山・長柄区間)については計画から19年目ということで見直しの対象とされませんでした。
しかし、計画当時から30年以上も経過しており、社会状況の変化や人口減少、地域住民からの理解が得られていないなどの状況を見ると、都市計画道路の見直し方針に基づき、改めて検討する必要があると思いますが、知事の見解を伺います。
質問趣意書を提出しました
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