- 日本共産党神奈川県議会議員団 - http://www.jcp-kanagawa.com -

県立障害者支援施設の定員縮小は当事者目線の欠落(20251218木佐木ただまさ反対討論)

2025年第3回定例会(後半) 本会議反対討論

日本共産党神奈川県議会議員団を代表し、ただいま上程されました定県第112号、116号、117号、122号、125号、163号、164号、166号、および172号と請願5件の委員会審査結果に対し、反対の立場から討論を行います。

まず、定県第112、122、163、164号についてです。
これらの議案は、県立障害者支援施設である中井やまゆり園の地方独立行政法人化をするためのものであり、これは県の公的責任の後退に他なりません。
特に問題となるのが、独法が目指すべき方向性を示した定県第163号「地方独立行政法人神奈川県立福祉機構中期目標」です。この中期目標案は、施設の規模縮小や、入所施設を一時的な受け入れを行う「通過型施設」として役割を確立するとしています。
しかし、県が公表した実態調査の結果によれば、県内の障害者支援施設やグループホームの利用を希望する待機者は、少なくとも1,067人に上ります。入所希望理由の多くは介護者の高齢化や病気・療養であり、家族の暮らしは切実な状況にあります。
現状、地域のサービス基盤整備が不十分で、これほど深刻な待機実態があるにもかかわらず、入所定員縮小を進めることは、当事者目線の欠落と言わざるを得ません。私たちは、重度障害者支援における県が、自らの責任としてセーフティネット機能を維持することが必要と考えますので、地方独立行政法人神奈川県立福祉機構の設立に関するこれらの議案に反対します。

次に、定県第116号「神奈川県県税条例の一部を改正する条例」は、個人県民税の超過課税である水源環境保全税の税率は軽減するものの、適用期間をさらに5年間延長するものです。この間、毎年県税は増収が見込まれる状況が続いており、超過課税を継続し県民に対する特別の負担を強いなければならない状況ではないはずです。水源環境保全は恒久的に対策が必要な事業であることからも、一般財源の中で適切に措置することが本筋ですので、本議案に反対します。

定県第117号議案は、「県立花と緑のふれあいセンター」、いわゆる花菜ガーデンの利用料金上限を大幅に引き上げ、公共施設の経営責任を県民に転嫁するものです。入園料金の上限引き上げに加え、会議室利用料が約5倍、駐車場利用料が約2倍に高騰し、県民の利用機会が奪われかねません。公共施設が、明確な受益者負担の基準なく、経営上の都合のみで利用料を大幅に増大させることは容認できません。よって、公共サービスの負担増加という物価高騰対策に逆行する本議案に反対します。
同様に、定県第125号「神奈川県都市公園条例の一部を改正する条例」は、秦野戸川公園の少年野球場について、名称変更と併せて利用料金の上限額を引き上げるものです。具体的には、少年野球場の利用料金上限額が1時間470円から1,070円へと引き上げられます。公共施設の利用料を引き上げ、利用者の負担を増大させることに反対します。

最後に、特別職の手当引き上げに関連する定県第166、172号についてです。
定県第166号は、知事、副知事、教育長などの特別職の期末手当の支給割合を引き上げる議案であり、定県第172号は、県議会議員の期末手当の支給割合を引き上げる議案です。
県民が生活の維持に苦しむ中、福祉サービスの不足や負担増が課題となっている状況で、すでに十分な報酬を得ている私たちが自らの報酬のみを引き上げる行為は、県民の理解を得られるとは到底思えません。

次に、請願についてです。
請願第31号は、OTC類似薬の保険適用除外や追加負担を行わないよう、国への意見書を求めるものです。
政府が推進するOTC類似薬の保険適用除外は、国民皆保険制度の根幹を脅かし、医療費削減を目的とした安易な施策です。受診控えによる健康被害のリスク増大、花粉症や変形性膝関節症など広範な患者負担の増加、そして、日本小児科医会から、子育て世帯の負担が増大するという事態は「子育て支援」に逆行し「子育て妨害」につながるという指摘もされています。
国民が必要な医療を安心して受けられる体制を維持するため、本請願は採択すべきです。

請願第32号、海上自衛隊へのトマホーク配備撤回を求める請願は、トマホークの横須賀海上自衛隊への配備決定に対し、平和憲法の理念に基づいて撤回を国に求めるもので、横須賀市議会と神奈川県議会に提出された署名は合計で31,424筆に上ります。トマホークは湾岸戦争などの先制攻撃に用いられてきており、その配備は、歴代政権が掲げてきた専守防衛の原則をも投げ捨てる行為に他なりません。
配備が予定される弾薬庫が住宅密集地の近くに位置する可能性が高く、横須賀市民をはじめとする県民の日常生活圏が、他国からの攻撃対象となる重大な脅威にさらされます。横須賀市が「旧軍港市転換法」に基づき平和産業港湾都市への転換を目指しているにもかかわらず、トマホーク配備は平和都市の理念に反するものです。県民の平和的生存権を守るため、本請願の採択を強く求めます。

請願第33-1、33-2号および34号は、「教育格差や公私間格差の是正と子どもたちに行きとどいた教育を求める」請願です。
これらの請願は、子どもの学ぶ権利を保障するための教育条件の改善と保護者負担の抜本的な軽減を求めるもので、33号は12,131筆、34号は53,216筆の署名が添えられています。
県教委の調査によれば、公立小中学校における暴力行為やいじめの認知件数、不登校による長期欠席者数は、いずれも過去最悪の状態にあります。教員が不足し、本来ならいるべき教員が配置できないという未配置は深刻です。特に、県立特別支援学校の未配置はここ3年間で約4倍になっており、子どもたちの教育環境が悪化しています。この危機を克服するため、正規教員の増員の改善が喫緊の課題です。
また、神奈川県の私立小中学校への経常費補助は未だ国基準に達しておらず、これが保護者負担全国最上位クラスという高学費の主要因となっています。私学助成をさらに拡充し、公私間の教育費格差を解消することは、公教育を担う県の責務です。
子どもたち一人ひとりに「ゆきとどいた教育」を保障し、公的責任を果たすため、県議会としてこれらの請願を採択することを求めます。
以上の理由から、日本共産党神奈川県議団は、県民の切実な福祉ニーズに応えず、負担を増やし、県民の声に寄り添わない議案と請願の委員会審査結果に反対することを表明し、討論といたします。