日本共産党神奈川県議会議員団

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議会報告
2024年9月26日

【書き起こし未定稿】大山議員の一般質問と答弁

本日の質問と答弁を、音声をもとに書き起こした未定稿です。
※誤字・脱字などがある場合もあります。ご利用の際はご注意ください。

20240926 大山奈々子議員一般質問
書き起こし未定稿

大山議員:大山奈々子です。日本共産党神奈川県議会議員団の一員として質問いたします。
質問の第一は国際平和についてです。

はじめに核兵器禁止条約と平和についてです。

本日はくしくも核兵器の全面的廃絶のための国際デーにあたります。平和への思いを込めて質問いたします。
核兵器禁止条約に関しては私たちは2020年までに二度、条約の批准を求める質問をしてきました。

近年、核戦争への危機感が高まったことにより核廃絶への機運も醸成されてきています。2024年には条約批准国が70、署名国は93か国に上っています。

この夏の広島平和記念式典での広島市長の挨拶では、為政者が断固とした決意で対話をするならば、危機的な状況を打破できるとする例を挙げ、日本政府に締約国会議へのオブザーバー参加を呼び掛けています。2023年にはアメリカの核を国内に置いているドイツやベルギーなどNATO加盟国もオブザーバー参加をしています。
また、心強いことに第二回会議には広島県知事が参加しています。広島県としてサイドイベントを開催し、その議論の中では、核兵器産業には、多くの資源が投入されており、この資源を教育、衛生、飢餓、気候(変動)など地球の持続可能性を高めることができる分野に再配分することができれば、より公平で正義に基づく世界を築くことができる。というような意見もあったということです。
さて、来年は被爆80周年です。被爆者の平均年齢は、約86歳となりました。被爆以来79年、差別と偏見に苦しみながら、体の不調と闘いながら、核兵器の廃絶と被爆の実相、非人道性について世界の人々に伝え続け、核兵器禁止条約実現・発効にかけがえのない尽力をされた被爆者のみなさんです。これまでも県は、被爆者援護・支援のため行政としての役割を果たしてきていますが、被爆80年の大きな節目に、いっそうヒバクシャの体験を伝え、核廃絶を進める取組が必要です。
そこで知事にうかがいます。議論をすることが核廃絶への道だという声に応え国に対し核兵器禁止条約の批准を求めること、少なくとも来年2025年の3月に予定されている核兵器禁止条約第3回締約国会議にはオブザーバーとしてでも参加を求めるべきと考えますが見解をうかがいます。
また、2025年に被爆80周年を迎えるにあたり、本県の平和の取組を強化し、被爆者を励まし、体験を伝え、核廃絶を加速するための取組が必要だと考えますが、見解をうかがいます。             
                     
次に米軍犯罪の情報提供についてです。
2023年12月の沖縄の米兵による少女暴行事件が、地元沖縄県に半年間知らされていなかったことが発覚し衝撃をもって伝えられました。私たちは、外務省防衛省に出向き、経過を確認しましたが、国の判断で伝えられなかったことが明らかになりました。その後半年間で4件の性犯罪が発覚したことを思えば、政府の姿勢が国民を危険に晒し犠牲を生んだと言わざるを得ません。少女が受けた性暴力は、死の恐怖を伴いました。勇気をふり絞って加害者を告発した少女の声を封殺した政府に激しい怒りを込めて抗議します。

神奈川県においても2021年以来2件の性犯罪が県に報告されていなかったとの報道があり、不安の声が私たちのもとにとどいています。被害者のプライバシーには当然配慮しながらも、犯罪の発生を当該自治体が把握することは重要です。そうでなければ発生地域への注意喚起や再発防止を米側や国に申し入れることもできません。沖縄県は、今回の不祥事を受け、逮捕や書類送検した時点で県警から直接県が情報を得るルートを本年7月に確立しました。9月にはこのルートにのっとってさらに1件の性暴力が報告されました。

県は従来5年間に発生した米軍関係者の事故の数は議会に報告しているとのことですが、各地の基地機能強化に伴い、その数は近年増加しています。先月は海老名でヘリコプターの不時着事故、今月は横須賀で米兵車両が衝突し、22歳のバイクに乗った若者を死亡させる事故も起こしています。県民が被害を受けた情報は着実に把握することは基地県として県民を守るために最低限果たすべき責務だと考えます。
今回の質問に当たり、本県で発生した米軍犯罪の累積数を聞いても基地対策課も把握がないとのことで米軍犯罪に対する杜撰な構えに驚きました。かつては、「かながわの米軍基地」という基地問題の全貌を把握できる冊子を作成していましたが、それもなくされました。基地あるがゆえの犯罪から県民の安全を守る対応が求められます。
そこで知事にうかがいます。 
国が米軍関係者の性犯罪を報告しなかったことに関する県の見解についてうかがいます。また、すべての米軍犯罪について、現在の日米合同委員会合意に基づく国経由のルートのみで通報を受けるのではなく、沖縄県のように県警と連携を強め、把握に努めるとともに、国に対して、県や関係自治体への報告を義務付けるような新たな仕組みを作ることを求めるべきと考えますが見解をうかがいます。さらに、米軍関係の事故や事件を累積的網羅的に把握し公開することが必要だと考えますが、見解をうかがいます。以上です。

黒岩知事:大山議員のご質問に順次お答えして参ります。国際平和についてお尋ねがありました。まず核兵器禁止条約と平和についてです。はじめに核兵器禁止条約の批准及び条約締結国会議のオブザーバー参加についてです。核兵器禁止条約について国は核兵器のない世界への出口とも言える重要な条約であるものの、核兵器国は 1カ国も参加しておらず出口に至るまでの道筋は立っていないとの見解を示しています。また国は唯一の戦争被爆国として核兵器国を関与させるよう努力をしていくと表明していることから、県としては国の動きを注視してまいります。
次に被爆 80年に向けた県の取り組みについてです。核兵器の廃絶と戦争のない平和な社会の実現に向けて昭和59年に神奈川非核兵器県宣言が県議会で議決されたことを始め核実験への抗議活動を行うなど 様々な取り組みを進めてきました。来年の戦後被爆 80年に向けては語り部による被爆者体験の伝承など県民の皆様への非核平和に関する啓発を中心に地域からの取り組みを進めてまいります。
次に米軍犯罪の情報提供についてです。米軍人による事件が起きた際の自治体への情報提供は再発防止の取り組みに不可欠であり、沖縄県で発生した米軍人の性犯罪等について国から自治体に情報提供がなかったことは重大な問題です。引き続き国に対し性犯罪を含め事件事故の関係自治体への情報提供の徹底を求めていきます。また米軍犯罪の把握に関する県警との連携や新たな仕組みづくりについてですが、 日米間では 平成9年に日本人に損害を与える可能性がある事件等に関する自治体への通報手続きが合意されています。当該日米合意により情報提供の責任を有する国・米軍から関係する自治体に対して確実に情報提供が行われるよう、引き続き制度の適切な運用を国に強く求めていきます。さらに米軍関係の事件等の把握・公開についてですが、本県では平成9年の日米合意に基づく国からの通報を受け、要請を行った事件等について過去5年分の概要を県ホームページで公開しています。今後は米軍関係の事件等について、県ホームページに掲載する機関を延長するなど、県民の皆様への情報提供の拡充を検討してまいります。答弁は以上です。

大山議員:ご答弁いただきました。米軍犯罪の情報提供について再質問いたします。ご答弁では日米間の合意に基づいて適切に情報が伝達されるよう求めていくということだったんですけれども、沖縄県はそれが適切に行われていなかったからこそ独自のルートを開発されました。伺いますが、犯罪が発生した地元自治体がその情報を知るメリットはどのようなものがあるでしょうか。お答えください。

黒岩知事:再質問にお答えいたします。地元自治体として米軍犯罪に関する情報提供を受ける意義・メリットについてのお尋ねがありました。米軍人等による事件等が起きた際の自治体への情報提供は、再発防止策を講じ、基地周辺住民の方々の安全安心を確保する上で重要であると考えています。まず事件等起きた際には国からの情報提供を踏まえ自治体として必要な要請を実施することにより、国や米側が地元の意向を踏まえた再発防止策を講じることが可能となります。また国から得られた事件や再発防止策に関する情報を自治体としてマスコミ等を通じて広報することは、基地周辺住民の方々の安全安心に資するものであると考えています。このような考え方から今後とも米軍人等による事件等に関する適時適切な情報提供を国に求めてまいります。答弁は以上です。

大山議員:では、再々質問をさせていただきます。地元自治体が情報を獲得することの意義が語られました。しかしそのメリットを全く活かせない事態が発生し、情報が来なかったので沖縄では再犯を許しています。沖縄では県警から直接のルートを確立し、さらに国に求めて捜査当局が公表しない性犯罪事件についても沖縄県に情報提供することまで決めました。知事要請や県議会の決議などがこういう変化を生んだと言います。国は本県はじめ他の県に関しては個別に相談するという姿勢です。知事が会長を務める渉外知事会からも通報の徹底を求めている以上、本県も沖縄県のような対応を求めるべきではないですか。お答え願います。

黒岩知事:それでは再々質問にお答えいたします。沖縄のように県警からのルートを設けること及び新たに国からの情報提供を求めることについてのお尋ねでありました。米軍人等による事件等が起きた際、 自治体にとって必要な情報は再発防止策等を国に要請する上で基礎となる確実な情報です。従って平成9年の日米合意により情報提供の責任を有する国・米軍から、関係する自治体に対して確実に情報提供が行われるよう引き続き制度の適切な運用を国に強く求めていきます。また7月に渉外知事会として 米軍人等による性犯罪を含む重大事件について通報の徹底を国に求めており、引き続き国に対して確実な情報提供を働きかけてまいります。答弁は以上です。

大山議員:それでは要望を申し上げます。米軍犯罪についてです。知事答弁は、国に求め続けていてもそれでも守られなかった県があったのにさらなる徹底のルートを構築しないということですから、本県 県民の犠牲には目をつぶるという無責任な態度に見えます。沖縄と本県の違いは何でしょうか。沖縄県知事はアメリカの国防総省にまで話をしに行っているんです。政府や米軍に忖度することなく県民の命を守る立場に徹底して立っていただくことを求めます。
次に核兵器禁止条約と平和についてです。核兵器禁止条約について重要な条約だという受け止めがありましたが、私たちが最初に質問に取り上げてから 7年経ちました。世界情勢は核兵器禁止の緊迫度を増し、一方でNATO 加盟国まで危機感を持って核兵器廃絶への真剣な議論の場にいるというのに、被爆者の方々の命が尽きる前に、少なくともあなた方の思いは神奈川県がしっかり受け止めました、というメッセージとして国を後押ししていただきたいと思います。来年の 80周年の記念行事に関してはご検討いただいているということなので被爆者の方をしっかり励ませるような形の行事にしていただくことを求めます。

大山議員:質問の第二は教育環境改善についてです。
はじめに夜間中学や定時制高校における就学機会確保です。
夜間中学は、戦後の混乱や、来日前の事情で義務教育の機会がなかった方、不登校などで形式的に卒業した方などの、学習保障の場として非常に大切な役割を果たします。相模原市と県が連係して市内に2022年に開設された相模原市立大野南中学校分校の夜間学級は、横浜・川崎に1校ずつ設置されている夜間中学が市内在住在勤を入学の条件としているのに対し、相模原市以外の市町村在住の方も入学できるような広域的な仕組みを取り入れており、ボランティアで学習支援に当たる方々から喜びの声を聞いています。現在、在籍者は開校3年目で3年生12名、2年生11名、1年生6名となっています。義務教育機会確保法によると、基本理念として、「義務教育の段階における普通教育に相当する教育を十分に受けていない者の意思を十分に尊重しつつ、その年齢または国籍その他の置かれている事情にかかわりなく、その能力に応じた必要な教育を受ける機会が確保されるようにする」とされています。教育を受けていない者の意思を十分に尊重するためには、県HPや相模原市内での広報以外に、全県的に届く広報が待たれています。情報を取りに行かなくても目や耳に入る広報の仕方を検討すべきと考えます。
大野南中学の夜間学級は、連携している市町村から生徒を受け入れますが、その数は15自治体にとどまっています。県内には実質的に義務教育の機会を奪われた方々は神奈川・横浜の夜間中学を考える会の試算によると8万人に上ると見込まれています。少なくとも県域ごとに一校は設置を目指す取り組みが必要です。
広報を充実させ、連携市町村を増やすとともに、夜間中学卒業生の多くが進路先とする定時制の受入れ拡充も必要です。県内3分の1にあたる6校の募集停止を決めていますが、県教委は定時制の意義を十分示せてきたでしょうか。東京都では定時制高校そのものの広報が充実しています。

そこで教育長にうかがいます。一人でも多くの県民の義務教育の機会を保障するために、夜間中学の新規開設についての展望をうかがいます。また夜間中学の広報についてどう拡充していくかうかがいます。
さらに進路先の保障として定時制高校の広報を拡充し募集停止を見直すことが必要と考えますが見解をうかがいます。      

次に特別支援教育の充実についてです。
今年4月、知事が雑誌のインタビューで「本音は特別支援学校をやめていきたい」と語ったことは関係者の間で不安と動揺を呼びました。2022年に国連の障害者権利委員会がわが国の分離教育を批判したことが話題です。有識者によるとこれは「隔離された特殊教育の廃止」を求めたものであって、通常の教育環境との物理的な隔絶を排し、差別的な扱いを無くしながら、障害のある子どもの全面的な発達を保障することに主眼があるとのことです。
知事発言に込められた、インクルーシブを追求しようとする思いが報道で明らかにされても、「ただでさえ特別支援学校が足りていない状況なのに、なくすなんて。」などの声が上がっています。
私たちはインクルーシブ教育の推進は十分な予算と人の配置があれば大歓迎ですが、今の乏しい教育資源の状況下で特別支援学校をなくしたいという意向を知事の思い1つで軽々に明言することは避けるべきだと指摘しておきます。
図書室が物置のようになっている特別支援学校もあると聞きます。また、学校によっては水道が錆びていたり、校舎が何カ所も雨漏りしていたり、こういった実態がみられるのは、やがてなくなっていく学校だからかと嘆く声も聴きます。
そこで教育長にうかがいます。県立特別支援学校の意義について見解をうかがいます。2023年4月に全面施行になった特別支援学校設置基準ですが、既存校は当分の間従前の例によることができるとされていますが、本県としては当分の間をどれほどと規定してどのように施策を推進するのかスケジュール感をお示しください。
また施設の老朽化問題は一刻もはやく改善しなければならないと考えますが、問題解消の展望をうかがいます。
 
次に教員未配置問題と臨時的任用教員の正規化についてです。
教員未配置が大きな問題になっています。政令市を除く本県の教員の未配置は2024年5月1日段階で238名に上り、中でも特別支援学校の未配置数は今年度84名と割合が高いとされています。所定の人数が確保できないため、じっとしていられない子たちに丁寧に向き合う余裕がなく、危険を避けるため力で押さえざるを得ない場面が生じてしまうようなこともあるということです。未配置解消のための方策が急がれます。

本県でも教員不足を臨時的任用教員の採用で補っており、担任を始め各校務分掌について正規教員と変わらぬ重責を担っておられます。ところがこういう実際の教育現場に立っている方々が何年間も採用試験で不合格になっている実態があり、二次試験の合格率は大学推薦の対象者が約9割に対して臨時的任用など教員経験者が4割強と格段に低くなっています。他県では教職に就きながら採用試験を受けなければならない先生たちを正当に評価し教員経験者として採用基準を設けている自治体もあります。規制緩和で専門性を度外視した採用ではなく臨時的任用の経験を正当に評価する採用制度が必要です。

そこで教育長にうかがいます。文科省通知においても「正規教員の比率向上」が求められており、現在の教育水準を維持向上するためにも、正規教員の割合の目標値を設定することが必要だと考えますが見解をうかがいます。臨時的任用などで現場に立っている教員を正規化することが何よりも求められると考えますが、見解をうかがいます。

花田教育長:教育関係のご質問にお答えします。教育環境改善について何点かお尋ねがありました。まず夜間中学や定時制高校における修学機会確保についてです。令和4年に相模原市が設置した夜間中学では市内の生徒だけでなく県内15市町の生徒を受け入れる広域的な仕組みを取り入れています。現在新たな夜間中学を開設する動きは見られませんので、県教育委員会ではこの夜間中学での学びの機会確保に向け、より多くの市町村に広域的な仕組みへの参加を働きかけていきます。また、夜間中学の広報については今後もホームページを始め、市町村や関係団体への案内の配布などを県と相模原市が連携して取り組んでいきます。
定時制高校の広報については引き続き全公立展やホームページでの案内に加え、定時制・通信制合同の説明会などにより取り組んでいきます。また、夜間定時制への志願者の減少を踏まえ 3期の県立高校改革の実施計画に位置付けた6校おける募集停止について見直すことは考えていません。
次に特別支援教育の充実についてです。特別支援学校の意義については、障害のある子どもの教育的ニーズを踏まえ、専門的な支援体制のもと一人一人に応じた学びを提供し、社会的自立を促すことにあると考えています。特別支援学校の設置基準については令和4年に策定した神奈川特別支援教育推進指針に基づき、今後新校の設置や既存校舎の増改築、通学区域の変更などにより順次対応していきます。老朽化対策については県立特別支援学校の約6割が築40年を超えている中、県教育委員会では計画的に屋上防水や外壁補修などを行っています。また日常点検で雨漏りなどの不具合を発見した場合は、速やかに修繕を行うなど適切な対応に努めています。
次に、教員未配置問題と 臨時的任用教員の正規化についてです。国は計画的な教員採用を促す通知の中で、例示として正規教員の割合の目標値を設定することを示しています。県教育委員会では将来の児童生徒数の推移を見定めた上で、直近の教員不足の状況も踏まえて計画的に教員採用を行っていますので、正規教員の割合の目標値を設定することは考えていません。
また正規教員の採用にあたっては、筆記や面接による考査を行う教員採用試験に合格することが必要です。臨時的任用教員は現場経験はありますが、試験を経ずに正規教員に採用することはありません。なお、臨時的任用教員には採用試験にあたって一部試験を免除する優遇措置を講じています。答弁は以上です。

大山議員:はい、ご答弁いただきました。それでは要望を申し上げます。はじめに夜間中学や定時制高校における就学機会確保についてです。夜間中学を取り扱ったドキュメンタリー映画「こんばんは」では、学び直しの場を得て自己肯定感が高まり人生を前向きに生きていく人々の姿が描かれています。本県の取り組みが人生に大きな希望をもたらす可能性を広げることになりますので期待しています。ご答弁では広報について今後は相模原市と、今後も検討していかれるということでしたけれども、インターネット環境にない方にも、積極的に情報を取りに行かなくても目に入るような、紙媒体などでの広報もお願いしたいと思います。また、高校卒業資格がないと就職が困難な社会にあって、その機会を保障する定時制高校はその意義を発信し、生徒減少に歯止めをかけることができますので、従来の広報ではなく、東京都などでは校長先生の一言が入った、この学校に行くとあたたかい教育環境が待っているなと期待させるような内容の広報物もありますので、ご検討をいただきたいと思います。それから定時制高校の募集停止方針の見直しはないということですけれども、廃校ではなく募集停止にしておられるというところが募集の再開もありえるかな、と期待しておりますので、早期に見直していただくことを要望いたします。
次に特別支援教育の充実についてです。本県教育行政は長期的なスパンで検討されるとしても、今の環境で過ごさなければならない子どもたちの在籍期間は一時期です。特別支援教育の意義を認め新校建設を急いでくださるわけですけれども早期に設置基準に合致した整備を行えるよう、また老朽化対策も 抜かりなく行えるよう、単発でも対応しているというお答えでしたけれども、学校からの声を聞くことにつとめてくださるよう要望いたします。なお特別支援学校の整備は インクルーシブ教育の進展を見据えながらとなるようですが、インクルーシブ教育は支援が必要な子を障害のない子と全く同じ取り扱いをすることではないはずですね。適切なその子なりの課題把握と適切な支援を伴う教育環境整備が必要であることを付け加えます。
次に教員未配置問題についてです。
必要な先生数が配置されていない事態は由々しき問題です。専門性をもって継続的安定的に任務に当たれるよう、正規教員の目標を設定しないということでしたけれども、やはり正規教員が少ないことによって臨時任用の先生にあたってもらわなければいけないという事態が発生していますので、目標を持って取り組んでいかれるよう、少しずつ増やしてきていただいていることは承知していますけれども、今後とも目標設定をお願いしたいと思います。また、臨時的任用教員がずっと臨時的だという問題については、いろんな学校の先生から聞いている声です。実態として正規教員となんら変わらぬ任務をこなしておられながら、肩書だけは不安定なまま。学科を教えているのに学科の試験を受けなければならないというのはなかなか不条理だなと考えます。先生たちの人生を考えてもせめて臨時的任用のまま留め置かれている年数など実態を把握し、何回臨時的任用繰り返しているのかと、そういう実態を把握し、採用において考慮されるような改善を求めます。以上です。

大山議員:質問の第三は県政の重要課題についてです、
はじめに、人工透析患者の地域生活や施設入所を支える取組についてです。
医療の発達により、人工透析をされている方の長生きが可能になりました。その方が、介護が必要になり、特別養護老人ホームなどに入所したくても人工透析をしているため入所を拒否されることが多くあります。
国が、2018年の介護保険法の改正で介護医療院を新たに位置付けた際、従来の介護老人保健施設では算定できなかった「慢性維持透析患者外来医学管理料」を医療保険で算定できるように変え、介護医療院に入所している利用者が専門的な診療を受診したときに医療機関が診療報酬を受けられるようになりました。
現在、神奈川県内に介護医療院は県の管轄で7施設、横浜市5施設、川崎市にはありません。相模原市に4施設ありますが、透析ができる施設はまだありません。
さらに、医療施設を持たない特別養護老人ホームでは、今年度の報酬改定によって、近隣の透析施設への通院送迎の加算が新たに創設されました。しかしこの加算は月594単位で金額にすると約6000円となりますが、一日おきに透析が必要な入所の利用者を送り迎えするには、非常に少ない報酬といわなければなりません。
そのことも影響し、この加算を申請している施設は県内に一つもありません。

そこで知事にうかがいます。
透析患者の受入が可能な介護医療院、介護施設等の整備が急がれますが、県としてはどのように整備を促進しようと考えているのか、見解を伺います。
 また、県としてこの送迎加算に上乗せをする補助制度を作ることや、移動サービス事業との連携を図る制度を構築するなど、人工透析患者が入所施設に入りやすくする対応を図る必要があると考えますが、知事の見解をうかがいます。
 さらには、人工透析患者の介護の改善のためには、この加算をもっと引き上げるよう国に求める必要があると考えますが、知事の見解を伺います。

次に農業を守り育てる施策についてです。
この夏、お米が小売店やスーパーから消えるという事態が起きました。お米の需要がわずかに政府の見通しを上回っただけでこれだけの混乱と不安を国民に生じさせてしまうほど、今の国内の食料供給体制は脆弱なのかと衝撃を持って受け止めています。国の進めてきた減反政策のつけであることは明らかです。農業の振興は、農家を守ることにとどまらず国の安全保障や国民生活の根幹にかかわることであることは論を待ちません。
国は食料自給率の目標を2030年度にカロリーベースで45%と掲げていますが、38%で足踏みしたままです。そして、本県は食料自給率2%でありながら具体的な目標が掲げられていません。県民の暮らしと食の安全を確保するためにも、県として食料自給率の目標を掲げ、その達成に向けた必要な施策を進めることが必要です。
その一つが、営農が継続でき新規就農を促進する農業所得の向上の取組です。神奈川県は農業所得700万円前後を目標に掲げて、様々な取り組みを行ってきましたが、現在のところ県内農家の農業所得は約400万円という状況です
本県では地域の条件に経験と工夫で対応してきた家族農業が減少している事態に歯止めがかかっていないことは依然として大きな課題です。
 国の議論では「財政支出に基づく生産者への直接支払い」を求める提案に、与野党推薦の参考人全員が賛成しており、岸田首相も「収入保険制度等で、農業者の所得の向上を図る」としています。収入保険制度は、全ての農産物を対象に、自然災害による収量減少や価格低下をはじめ、農業者の経営努力では避けられない収入減少を広く補償するもので、補償割合は掛け金によって異なります。しかし、収入保険制度は原則価格補償制度との併用ができないことや掛け金の負担などから、利用が伸び悩んでいると聞いています。県内では、松田町、愛川町、大井町が掛け金の半分程度の補助などの支援を行っています。こうした家族農業が経営を継続していけるような支援は、県土保全にも県民の食料供給や食の安全を守るためにも県として相当に力を入れなければならない事業です。
そこで知事に伺います。安定した食料供給を担保するためにも、県内の食料自給率の目標を設定し、推進すべきと考えますが、見解を伺います。農業経営の多数を占める家族農業を振興していくために、国に対して所得補償制度の充実と、利用しやすい収入保険制度への改善を求めるとともに、収入保険と県単独の価格補填制度との併用を継続するべきと考えますが見解を伺います。また、収入保険制度を利用しやすくするために県内自治体も行っている掛け金に対する補助を県として行うべきと考えますが、併せてうかがいます。                          
次に無料低額診療事業の充実です。
無料低額診療事業とは、経済的な理由で必要な医療を受ける機会を制限されないよう、診療に当たって患者の一部負担金を無料または低額な料金にする制度であり、社会福祉法で定められています。
厚生労働省によると対象者は「低所得者」「要保護者」「DV被害者」などの生計困難者です。世帯の実収入額が生活保護基準の 140%以下に該当する世帯員も対象となります。事業を実施している医療機関の窓口において、生活困窮の状況を相談して、福祉的な支援制度を検討した後、必要に応じ、医療費自己負担分の一部または全部の減免措置が決定されます。県内には46機関があるとのことですが、この事業は医療機関に対しては税制上の優遇があるものの、対象者を診察するほどに持ち出しになるリスクを抱えながらも事業を担ってくださるその使命感には本当に頭が下がります。しかしながらこの制度の認知度が低く、必要な人に情報が届いていません。
さらに、今や院外処方を行う医療機関は2023年7月時点で約8割に上り、そのため院内処方が多かった時代につくられた現制度では、院外薬局では処方箋に基づいて無料または低額での薬の提供を行うことができません。同事業を行う医療機関からは、「せっかく診察しても、薬の段階で治療を断念させることになる」との声があります。同事業の意義を発揮するためには院外薬局においても無料または低額で薬の提供を受けられるようにする必要があります。全国では高知市や青森市、那覇市などいくつかの市で無料低額診療患者を対象に、薬代の窓口負担分を助成する事業を行っている自治体があります。
そこで知事にうかがいます。
制度の意義を貫徹させるために妨げとなっている薬代への支援制度の創設を国に働きかけると同時に、県としても支援制度を作るべきだと考えますが、見解をうかがいます。
また、無料低額診療事業についての認知度が低いため、実施医療機関のHP上での紹介にとどまらず、ポスターやパンフレットを作成し、役所やハローワークなどで、公的機関や生活困窮者への支援に当たる自治体職員等に制度の周知を行うべきと考えますが見解をうかがいます。 

次に多様な性の性被害を救済するためにです。
大手芸能事務所、旧ジャニーズ事務所の創設者が、何十年もの間、大勢の少年たちを相手に恒常的に性加害を行ってきた事件は、大きな社会問題になり、男性が性被害を告発することの難しさを浮き彫りにしました。
この種の問題を扱う文献が非常に少ない中、議会図書室で「男性の性暴力被害」という研究者ら2名の共著による書籍に出会いました。
この本によると、男性の性被害者は「女性ほど傷つかない」「女性が加害者だったらラッキーだ」と思われたらどうしよう、また、「肉体的に反応した自分はその行為を望んでいたのではないか」などの思いから相談に踏み切れないとのことです。苦しみから逃れるためにアルコールや薬物に依存したり最悪の場合は自死に至るケースもあります。私たちは性犯罪をなくすためにも性教育の改善を求めてきました。しかし、実際に被害に遭った場合に備え社会の認識を変え、相談しやすい気運醸成が必要です。
内閣府男女共同参画局が行った2023年度の調査によると無理やりに性交などをされた被害経験をもつ被害者のうち、誰かに相談した割合は女性は40.8%、さらに男性は20.0%と少ないのが現状です。相談相手の一位は友人知人ですが、全国のワンストップ支援センターや医療機関など専門機関への相談は非常に少ないのが実情です。そしてせっかく電話をしても羞恥心や自責の念等が強く支援に困難があった事例も見られます。自身の性にまつわることを異性である女性の相談員に話すことのためらいもあるようです。
各県にあるワンストップ支援センターでは例えば警察への同行、法律相談の調整や同行、泌尿器科や精神科の紹介や同行、などが行われています。近年では男性の被害にも門戸を開いています。しかし、中にはいたずら電話などもあり、真剣に相談したい相談者との区別が難しく、高度な専門性と集中力を求められる仕事でありながら相応の処遇がされていない問題があるとのことです。本県のワンストップ支援センターかならいんの相談員は会計年度任用職員30名体制で、その他統括管理する正規職員等は3名。相談員の多くは専門職の方が本業と兼務となっているとのことです。本県は全国で唯一、男性とLGBT 専用の専門相談電話を開設していることは非常に重要だと考えますが、相談数が伸び始めた今、安定した雇用形態で心配なく業務に携われる職員が増えることは、性別を問わず性暴力被害者が安心して相談できることに繋がります。
そこでくらし安全防災局長にうかがいます。 
性別年齢を問わず性被害を受ける可能性があるという認識を共有し、安心して相談する場があるという周知を広げることが大切と考えますが、県としてどのように取り組むか見解をうかがいます。また安定的な相談事業に当たるためかながわ性犯罪性暴力被害者ワンストップ支援センター「かならいん」に男性を含む正規職員を増員し、相談員の処遇改善に取り組むべきと考えますが見解をうかがいます。以上です。

黒岩知事:県政の重要課題について何点かお尋ねがありました。まず人工透析患者の地域生活や施設入所を支える取り組みについてです。透析患者が介護施設に入所する場合、日々の体調管理に加え、血液透析にあっては週3回半日程度かかる通院の付き添いが必要です。こうした中、令和6年度介護報酬改定では透析患者の通院送迎を行う場合の加算が新設されました。また介護施設等と医療機関が連携した 送迎サービスなども進みつつあります。県はこうした介護施設と医療機関が連携した透析患者の送迎の好事例が広まるよう、周知を行ってまいります。そのため透析設備を有する介護施設の新規整備などを進めることは考えていません。また介護サービスへの報酬は全国一律の制度として国が責任を持って定めるものであることから、透析患者を受け入れた場合の報酬加算への県独自の上乗せ補助は考えていません。一方で、施設からは報酬加算のさらなる拡大等を求める声がありますので、県は透析患者を受け入れた場合の介護施設等の負担を報酬に適切に評価するよう、引き続き国に要望してまいります。
次に農業を守り育てる施策についてです。まず食料自給率の県目標の設定についてですが、県では新かながわグランドデザインにおいて農林水産物の産出額を指標として設定していますので、類似の指標となる食料自給率を新たに設定することは考えておりません。
次に所得補償制度の充実と収入保険制度の改善については本県の農業者が活用しやすい制度となるよう、必要に応じて国に要望していきます。なお収入保険制度と県単独事業の野菜価格安定対策事業との 同時加入については、今後国の同様の事業を参考に継続の可否を検討していきます。
次に収入保険制度の掛け金に対する県の補助についてですが、すでに国が掛け金に対して一定の補助を行っていますので、県としてさらに上乗せして補助することは考えておりません。
最後に無料定額診療事業の充実についてです。この事業は、生活困窮者等が無料または定額な料金で診療を受けられるようにする事業であり、受診と併せて医療や生活上の幅広い相談に応じ、暮らしの立て直しや福祉等の支援につなげることができる重要な取り組みとなっています。県ではこれまでこの事業をホームページで広く周知するほか、生活困窮者等の相談支援を行う職員への研修を実施し、相談者が 無料低額診療を適切に利用できるよう取り組んできました。しかしこの事業では薬代について院外処方 などの場合に減免が受けられないといった課題があります。ただこの課題について県は詳細な実施基準を定めている国に対し今後検討を働きかけていきたいと考えており、県独自の支援は予定していません 。また相談支援に繋がっていない生活困窮者等は、この事業を知らずに受信できていない方もまだまだ少なくないと考えます。そこで、県では新たにリーフレットを作成し、市町村の福祉窓口に加えハローワークなどにも配布することで、より効果的な周知を行い生活困窮者等の受診につなげてまいります。私からの答弁は以上です。

三浦くらし安全防災局長:くらし安全防災局関係のご質問にお答えします。多様な性の性被害を救済するためについてお尋ねがありました。県ではかならいんを設置し、性別年齢を問わず性被害者等からの電話相談を24時間体制で受け付けるとともに、本年 7月からは電話を躊躇する方でも相談しやすい LINE 相談を開始しています。かならいんを多くの方に知っていただくため、学校や商業施設などへのリーフレット等の配架、ホームページや SNS を通じた情報発信のほか 、1人で悩む方がインターネットで検索した際に、かならいんを案内すリスティング広告など 広く周知してきました。こうした取り組みの結果、かならいんへの相談件数は増加しており、今後も効果的な方法で実施していきます。
次にかならいんの相談員については、精神保健福祉士等の資格を有して活動されている方などが、隙間時間を有効に活用し被害者のために役立ちたいとの思いから応募してきており、柔軟な働き方ができる 勤務体系となっています。また全国で唯一の男性及び LGBT 被害者のための専門相談ダイヤルを開設し、男性への相談を希望される方にも対応できる体制を有していることから、現時点で男性を含む正規職員の増員などは考えておりませんが、今後も性被害者の立場に立った、きめ細かな支援に努めてまいります。答弁は以上です。

大山議員:はい。ご答弁いただきました。どうもありがとうございます。一点再質問いたします。食料自給率は現在それに代わる産出額という指標を持っているので食料自給率の目標を持たないということでしたけれども、もう一回伺いますけれども、本県の食料自給率の目標を持たない理由を教えてください。

黒岩知事:再質問にお答えいたします。県として食料自給率の目標を設定しない理由についてのご質問 でありました。先ほども答弁した通りでありますが、新かながわグランドデザインにおいて農林水産物の歳出額を指標として設定していますので、類似の指標となる食料自給率を新たに設定することは考えていないということであります。なお県内では米などに比べますとカロリーが低い一方で単位面積あたりの販売金額が高い傾向のある野菜等が多く生産されています。そこでこうした県内の農業等の実態から、カロリーベースの食料自給率ではなく、農林水産物の産出額を指標として設定しております。答弁は以上です。

大山議員:それでは要望を申し上げます。はじめに農業関係ですけれども食料自給率を設定しない理由として産出額、似たような指標だからというお声がありましたけれども、産出額は物価高騰などそういった外的な要因があって、農業産出量と、必ずしもかみ合うものではなく食料自給率というのはもっと総合的な数値だと思います。例えば北海道などはですね、国が2030年45%への食糧自給率アップの目標を持っています。国が持って自治体が持たないというのはどういうことでしょうね。自治体は国を構成するメンバーですから。北海道では「我が国の食料自給率の向上に最大限寄与できるように」、こういう姿勢で食料自給率の目標値設定されていますし、山形では「県民・国民のいのちをつなぐ食料供給県やまがた」こういう自負を持って食料自給率の目標を設定されております。本県は人口が多いからそう簡単ではないというのはうかがうんですけれども、簡単ではないでしょうけれども、葉物野菜だからカロリーが低くなるんだというのであれば、生産額ベースで、産出額ではなくですね、人材確保でありますとか農地の集積とか新規参入者とか様々な要素を盛り込んだ食料自給率を設定していただくことをお願いいたします。
かならいんに関しては今後とも広報をハローワークの窓口などでも強めていただくということですのでよろしくお願いいたします。その他前向きなご答弁もこの第三の重要課題ではいただきました。よろしく推進していただきますようお願い申し上げて質問を終わります。


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