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神奈川県2021年度予算案の発表にあたって

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神奈川県2021年度予算案の発表にあたって

2021年2月10日

日本共産党神奈川県議団団長 井坂新哉

2月9日に、黒岩祐治神奈川県知事は2021年度の予算案を発表しました。

今度の予算案は、新型コロナウイルスの感染拡大の中での予算案となり、県民のいのちとくらしを守るために最大限の努力が求められ、施策の選択が非常に重要となる予算です。

 

◆ 予算の歳入面での特徴

2021年度一般会計予算案は前年比107.6%、1448億2900万円増の2兆484億円となりました。新型コロナウイルスの影響で、県税収入が大幅に減少し、2020年度当初予算額との比較では、705億3900万円減の1兆1425億6800万円となっています。また、昨年同様、消費税増税によって地方消費税収入が個人県民税を上回り、一番多い税収項目となっています。

県税収入が減少した影響で地方交付税は前年度比200億円増の1250億円、臨時財政対策債は前年度比1090億円増の2140億円と大幅な増額となりました。

コロナの影響で県民生活が厳しくなる中、低所得者に多くの負担を求める消費税の地方への分配分である地方消費税が県税の中で一番多い税収となることは、貧困と格差をさらに広げるものといわなければなりません。消費税の減税こそ必要です。

このような歳入状況の中、今まで以上に県民生活を最優先にした財政運営が求められます。

 

◆ 新型コロナの感染拡大を防ぎ、県民生活を支えるための予算の充実を

2021年度予算は、まさに新型コロナの感染拡大を防ぐために県として力を発揮するための予算にしなければなりません。

これまで、陽性者が出た施設への集中検査や陽性者が出なくても行う一斉定期的検査を拡充してきたことは、わが団が求めてきたことであり、一定程度、評価できるところです。そして、今以上に感染拡大を抑えるためには、一斉定期的検査の拡充や希望者への検査など、PCR検査を抜本的に増やし、無症状の陽性者を保護することが重要です。

また、医療機関への財政支援、営業を支える点では、休業要請に対する協力金は事業所規模に応じた補償とすること、生活を支える点では、非正規労働者、学生、ひとり親などへの支援の充実が求められます。

 

◆ 防災対策の強化と2050年温室効果ガス実質ゼロに向けて

2021年度は、コロナ対応とともに防災、災害対策が大変重要になります。

日本共産党県議団も何度となく質問で取り上げ、河川整備、急傾斜地整備の促進などを求めてきましたが、昨年、県は水防災戦略を策定し、防災対策を強化しました。今年度予算では、計画よりも96億円プラスの560億円としたことは重要です。しかし、早期に整備をする必要性からすると、ま、予算が不足しているので、更なる増額が必要です。

一方で、災害が頻発する大きな要因となっている地球温暖化対策について、昨年気候非常事態宣言をしましたが、地球温暖化対策計画の改定を行っていません。国の計画改定を待つのではなく、県として計画を改定し、必要な事業をさらに促進する必要があります。2021年度予算案では、自家消費型太陽光発電等導入補助などの拡充がされたことは重要ですが、新たな事業に取り組むとともに現在の事業の更なる充実が求められます。また、気候変動の問題を取り上げるなら横須賀に建設が進められている石炭火力発電所の建設中止を求めることが必要だと思います。いずれにしろ2050年に温室効果ガス実質ゼロに向けた本気の取組が必要です。

 

◆ 予算の前進面について

その他の予算については、まず、2021年度予算案で新型コロナ対策のため事業見直しをした中には、これまで団が不要不急の事業としてとりあげてきた未病改善施策の一部が入りました。こういった見直しをさらに進める必要があります。

職員の配置では、児童虐待対策支援に62名の増など、全体で104名の増員を図ったことは重要です。

また、少人数学級の推進や耐震改修、トイレ改修などの学校整備予算の増、2022年度に相模原市が開設する中学校夜間学級の設置促進、大和綾瀬児童相談所の新設など、教育、子育て支援では重要です。

その他、道路標示の緊急補修などの交通安全施設整備費の増額、アスベスト対策として新たな機器を購入することなども評価できる点です。

 

◆ 改善すべき点について

新型コロナ対策に力を集中するためには、2020東京オリンピックパラリンピックは、断念することが求められます。2021年度予算案では、オリンピックパラリンピック予算として40億円8793万円が計上されています。多くのイベントが中止となっていることや外国からの選手、大会関係者の受け入れ、事前キャンプでの受け入れなど、国内の感染拡大防止以外に多くの対応をしなければなりません。県としても保健所体制、医療提供体制がひっ迫している状況を考えるとオリンピックパラリンピックの開催を断念するよう国に求めるべきと思います。

次に、ヘルスケア・ニューフロンティア政策についてです。この事業の一部を見直しましたが、一方で、新規事業として観光施設等に関する情報発信を行うとして5903万円。また、未病指標の精緻化などに6286万円の予算を計上すことは、不要不急の事業であり、新規に事業を実施する意義がありません。

不要不急の大型開発事業を見直すという点では、先日JR東日本と神奈川県、藤沢市、鎌倉市で合意した東海道線の村岡新駅の設置は150億円以上もかかるものであり、さらに藤沢市村岡地域と鎌倉市深沢地域での開発にも莫大な資金が投じられることは、今後、大きな負担になることは間違いありません。

さらにリニア中央新幹線の整備促進、東海道新幹線の新駅誘致とツインシティ計画などの大型開発の姿勢など、県民の要望とかけ離れた政策は改める必要があります。

また、県民要望との関係でいえば、横浜市では、カジノの誘致をめぐり住民投票条例が提案されたことは、住民自治の観点から非常に意義のあるものでした。残念ながら条例案は否決をされましたが、知事は、このような県民、市民の声に耳を傾ける必要があります。そして、カジノ誘致に反対する声が大きいことから、県としてカジノ誘致を応援する姿勢を改めるべきです。

今年は、コロナの影響で県民の暮らしと営業が非常に厳しくなると予想されます。県民の暮らし、福祉、子育て支援、社会保障、中小業者の営業を守ることなど、県民生活を支えるための予算に切り替える必要があります。

日本共産党県議団は、2月10日から始まる予算議会においてさらに予算の分析を深め、切実な県民要望の実現と公約実現のために全力を挙げます。

以上