- 日本共産党神奈川県議会議員団 - http://www.jcp-kanagawa.com -

神奈川県2020年度予算案の発表にあたって

(PDF版)神奈川県2020年度予算案の発表にあたってをダウンロード

 

神奈川県2020年度予算案の発表にあたって

2020年2月12日
日本共産党神奈川県議会議員団
団長 井坂新哉

 

2月7日に、黒岩祐治神奈川県知事は2020年度の予算案を発表しました。
今度の予算案は、黒岩県知事の三期目の最初の予算案となります。
一般会計予算は1兆9035億円、前年比476億6200万円増の102.6%となりました。

 

◆予算の特徴
今回の予算の特徴は、歳入面では、消費税増税によって地方消費税収入が個人県民税を上回り、一番多い税収項目となったこと。また、法人2税が大幅な減収となったこと。また、2019年度補正予算では、減収補てん債や財政調整債を300億円発行しているように、米中の貿易摩擦の影響などから景気の低迷の影響があることです。特に、国と同様に個人県民税よりも、低所得者に多くの負担を求める地方消費税が上回ったことは、戦後日本の基礎となった直接税中心主義を覆し、所得の再分配機能を弱め、貧困と格差をさらに広げるものといわなければなりません。
このような事態は、アベノミクスにより、消費不況と景気の低迷が招いているもので、破綻したアベノミクスによる経済政策と国の財政政策を改めるよう国に求める必要があります。

 

◆「かながわ気候非常事態宣言」について
今回の予算では「かながわ気候非常事態宣言」に基づいて、気候変動対策を予算に反映している点があります。
かながわ気候非常事態宣言では、①今のいのちを守るため、風水害対策等の強化、②未来のいのちを守るため、2050年の「脱炭素社会」の実現に向けた取り組みの推進、③気候変動問題の共有に向けた情報提供・普及啓発の充実を柱に掲げていますが、その中でも防災・減災対策として神奈川県水防災戦略を立てたことは大切です。
昨年の台風15号、19号の被害を受けて復旧対策に力を尽くすとともに今後起こりうる災害への対応の強化は、県議団も何度となく質問で取り上げ、河川整備の促進などを求めてきたところです。国の予算でも重点とされた防災・減災に係る予算を受けて、県が単独事業を増額し、河川整備や土砂災害、海岸保全などを促進することは大変重要です。
一方で、地球温暖化対策については、新たな施策や現在の施策の充実がありません。また、気候変動の問題を取り上げるなら横須賀に建設が進められている石炭火力発電所の建設の中止を求めることが必要だと思います。2050年に温室効果ガス実質ゼロを掲げるとともにそれに向けた施策の充実を求めるものです。

◆予算の前進面について
その他の予算については、県議団がこの間何度も求めてきた、信号機等の計画的な整備、道路標示の緊急補修などの交通安全施設整備費において前年度に引き続き、対策の強化を図り、約2億円増の約39億5000万円と拡充したことや私学助成を国の補助よりも増やし、700万円未満世帯まで補助の対象とすることや非課税世帯などの入学金に補助をすること。特別支援学校への看護師の配置を増やし、特別支援学校高等部のスクールバスの利用拡大、被災者の生活再建を支援するための県独自の制度の恒久化などについては、住民の切実な要望に応えるものです。

 

◆改善すべき点について
一方で、消費税増税に伴い厳しくなっている県民生活を支えることについては、不十分だといわなければなりません。
これまでも指摘してきたヘルスケア・ニューフロンティア政策については、13億2581万円を計上していますが、健康維持や介護予防の取り組みをしている市町村の取り組みを支援するように施策を変える必要があります。また、地元雇用も義務付けていないセレクト神奈川NEXTでは、27億円もの補助金を計上しています。さらに、柏尾川の浸水想定区域である藤沢市村岡地域に東海道線の新駅を誘致することやリニア中央新幹線の整備促進、東海道新幹線の新駅誘致とツインシティ計画などの大型開発を進める姿勢は改めるべきです。
このような県民の要望とはかけ離れた政策は改める必要があります。県民要望との関係でいえば、横浜市では、カジノの誘致をめぐり多くの横浜市民の反対の声が寄せられ、住民投票条例や市長リコールなどの直接請求の動きが進んでいます。知事は、このような県民、市民の声に耳を傾け、カジノ誘致を応援する姿勢を改めるべきです。
今年は、消費税増税の影響が大きくなり、実質賃金が減少し、家計消費も落ち込むこと、マクロ経済スライドの発動で年金が実質削減となるなど、県民生活はよりいっそう厳しくなると見込まれます。県民の暮らし、福祉、子育て支援、社会保障など、県民生活を支える県政に切り替えるとともに、小児医療費助成制度の拡充や中学校給食の整備費の助成、国民健康保険料の子どもの均等割の減免、特養ホームの増設など、県民要望に応えた予算にする必要があります。

 

日本共産党県議団は、2月12日から始まる予算議会においてさらに予算の分析を深め、切実な県民要望の実現と公約実現のために全力を挙げます。

 

以上